中国は半導体のサプライチェーンから締め出されることを恐れています。
世界最大の半導体輸入国であるため、禁輸措置を取られたらとたんに干上がりますし、製造技術が追いつくまでは、半導体については韓国にすり寄ったりもするでしょう。「日本と比較して韓国はエライ」といったリップサービスを述べることも辞さないでしょう。
中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』に驚くような主張が出ています。もっとも『Global Times』はアドバルーンを上げてみるのが仕事なので、『Global Times』らしい記事ともいえるのですが。
以下に冒頭部分を引用します。
「グローバル半導体サプライチェーンで最も重要な国と地域はChip4ではなくChip5であり、半導体製造大国である中国を除外してはならない」
と、中国の邢海明(Xing Haiming)駐韓大使が最近韓国の『チャンネルA』とのインタビューの中で述べた。
アメリカ合衆国が韓国を含むアジアの同盟国と独占的なチップ同盟を結ぼうとしていることについてコメントを求められた際、邢氏は、合衆国は最先端の半導体技術を把握しているが、中国も重要な市場であり、半導体製品の大きな生産国であると述べた。
中韓中国大使である邢海明さんが。「『合衆国・日本・台湾・韓国』の『Chip4』はおかしい。世界最大の半導体市場であり、生産国でもある中国が入っていないじゃないか。中国も入れろ。「Chip5」だ――と主張をしていらっしゃいます。
次の発言がまた傑作です。
(前略)
“Although we believe that South Korea does not have an intention to target China, we have to remain doubtful whether some other countries do,” he noted.「韓国は中国をターゲットにする意図はないと考えているが、他の国がそうなのかどうか、疑念を抱かざるを得ない」と指摘した。
(後略)
韓国には「よしよし」としています。韓国は鎖のうちの最も弱い環なので、韓国を狙って離間させようとしているのです。
また「他の国は」と述べていますが、この中に「台湾」は入っているのでしょうか。
原文は「some other countries」ですが、ここは「他の国と島」にした方が良かったのではないでしょうか。
さらに面白いのは以下の部分です。
(前略)
韓国側がある程度、米国と協調する可能性を示すシグナルもある。最近、メディアによると、2017年に贈収賄と横領の罪で有罪判決を受けた韓国の製造業コングロマリット、『サムスン電子』の後継者、李在鎔(イ・ジェヨン)氏が、大統領恩赦を受けたという。
一部の中国の専門家は、合衆国が韓国に何らかの圧力をかけて李氏の恩赦を後押しした可能性が高く、李氏がサムスンの指導者に復帰したことは、韓国と合衆国が半導体分野でより緊密な協力をする可能性があることを意味するはずだと指摘する。
(後略)
スゴイ想像です。
『サムスン電子』の李在鎔(イ・ジェヨン)総帥が、2022年08月15日、光復節に恩赦となりましたが、これは合衆国が圧力をかけた結果だというのです。
恩赦の目的は「『サムスン電子』が合衆国とより緊密に組んで中国に圧力をかけるためだ」と。
もし本当に合衆国が圧力をかけていたら、それこそ内政干渉です。
李在鎔(イ・ジェヨン)総帥はそれ以前から「恩赦で釈放すべき」という意見が大きかったのです。特に財界は政府に「なんとかしろ」と声を上げていました。
しかし、前文在寅政権は、財閥を目の敵にするのが信条でしたから一顧だにしませんでした。しかし、コロナ禍でワクチンが足りないという事態に陥って初めて「恩赦で釈放してあいつを合衆国に交渉に行かせよう」などと言い出したのです。
保守よりの政権になってやっと恩赦が実現したのに過ぎないのではないでしょうか。恩赦が合衆国の圧力などという話は、いくらなんでも考えすぎの被害妄想だと思われますが……。
ともあれ、中国は「オレも入れろ」などと言っています。「Chip4」はジャイアンを干上がらせてやろうという同盟なので、ジャイアン自身は入ることはできません。
もちろん分かっていてごねていらっしゃるのです。
(吉田ハンチング@dcp)