正面突破が信条の男前、韓東勳(ハン・ドンフン)法務部長官が「オレが討って出る」との約束を果たしました。
2022年09月27日、韓国の法務部長官である韓東勳(ハン・ドンフン)さんが、憲法裁判所に出廷。自ら「検察から完全に捜査権を剥奪する法律」について「憲法違反の法律である」と堂々と述べ、同法の効力停止を主張しました。
そもそも保身のための法律を無理やり成立させた
Money1でも何度もご紹介しているとおり、当時政府与党であった『共に民主党』は政権の末期に過半数を押さえているのをいいことに政治的術策を使って無理やりこの法律を通しました。
また、文在寅大統領が任期のうちに国会を通過させれば、(自身も望んでいたことなので)文大統領は拒否権を行使しないと判断し、強引に可決、施行に及んだのです。
文在寅政権は、その成立時から「検察改革」を掲げていました。これは強大な捜査権を持つ検察庁の力を削ぐためです。識者は、文在寅さん自身の個人的な動機が検察縮小という方向性に関わっているのではないかと推測しています。
つまり、相棒であり師匠であった盧武鉉(ノ・ムヒョン)さんが、大統領退任後に自身に捜査が及ぶに至って自死されたので、その敵討ちという意図があるのではないか――という指摘です。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)さんと文在寅さんは、学生運動が激しかったころに、学生の弁護を行い、当時から検察と激しくやり合った過去があります。
いずれにせよ、検察から捜査権を完全に剥奪する法律は、文政権関係者、また『共に民主党』の国会議員を検察の捜査から逃れさせるため、要は「自分たちが捕まらないため」に可決・施行したと考えられます。
これまた先にご紹介しましたが、強行採決前には『共に民主党』内でも議論があったのですが、「検察捜査権完全剥奪法を処理しなければ、文在寅政権の青瓦台の人物20-30人が監獄に行くことになりかねない」という声さえ出ていたのです(下掲の先記事参照)。
このような声が出ることが、保身のために法律を強硬採決した何よりの証拠です。「自分が捕まりたくないための法律」を通すなんて、よくまあそんな卑劣なことができるものです。
「検察から捜査権を完全に剥奪する法律」が一名「文在寅保護法」などと呼ばれるのは、そのためです。
韓東勳の「法律を骨抜きにする」ための戦い!
大統領選挙で尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が誕生し、政府与党となった『国民の力』ですが、無理やり通されてしまったため、事後に対処するしかありませんでした。
現在でも国会は『共に民主党』が過半数を占めているため、同法の改正案を出しても可決することは不可能です。
そのため、尹錫悦(ユン・ソギョル)さんの秘蔵っ子である韓東勳(ハン・ドンフン)さんは法務部長官に抜擢された後、検察から捜査権を完全に剥奪する法律の骨抜きに全力を傾注します。
2つの手を打ちました。
一つは、法文の解釈を利用し、改正案を国務会議で可決することで、検察の捜査権の及ぶ範囲を拡大。もう一つは、憲法裁判所に「違憲だと認めせる」ことで同法の効力を停止させることです。
前者の方はすでに行って、『共に民主党』から「国会の立法精神を無視している」と猛反発を喰らいました。また、『共に民主党』側は韓東勳(ハン・ドンフン)長官を弾劾する、と息巻いています。まだ弾劾決議は国会に提出されていませんが、時間の問題といわれています。
後者は、法務部が憲法裁判所に提訴し、そのときに韓東勳(ハン・ドンフン)長官は自ら憲法裁判所において説明を行う、と逃げない姿勢を示しました。このような自ら先頭に立って戦う姿勢を見せるTopは信頼されるものです。
韓国の皆さんも同じ気持ちなのでしょう、これまた先にご紹介しましたが、国民アンケートを取ると韓東勳(ハン・ドンフン)長官の人気は上昇しています。
検察から捜査権を完全に剥奪する法律は違憲である!
――で、憲法裁判所です。
2022年09月27日、韓東勳(ハン・ドンフン)長官は公約どおり、自ら憲法裁判所の法廷に立ち、以下のように真正面から意見をぶつけました。
「大韓民国でこれほど一線を超えたことはない。止めることができるのは憲法裁判所だけだ」
「この法は、誤った意図で、誤った手続きを通じ、誤った内容で作られた違憲なものであり、主権者である国民の被害が発生しており、その被害が今後さらに大きくなるだろう」
「今回の審判で憲法裁判所が下す答えは、今後大韓民国で『これは一線を超えており行ってはいけない』か、あるいは「この程度は行っても良い」かのどちらかだ。他の答えはない」
「もし憲法裁判所が今回の審判を通じて『これくらいなら行っても良い」と認めれば、今後この国、大韓民国ではまさにこのような場面が繰り返されるだろう」
「今後、総選挙で勝利する多数党は、どの党でも討論と説得は無視し、憲法裁判所が『してもよい』と許した偽装脱党、会期の分断、原案と直接関係のない修正案を入れるような『百戦百勝の万能キー』を十分に活用するだろうし、これが大韓民国の立法の『ニューノーマル』になるだろう」
韓東勳(ハン・ドンフン)長官は、口を極めて『共に民主党』が行った卑劣な立法行為を非難しています。
国会側も弁護士を繰り出して防戦に努めています。そもそも法務部には審理を請求する権限がないこと、「検察から捜査権を完全に剥奪する法律」(検察庁法と刑事訴訟法改正法案)は法律に則って処理されこと、として憲法裁判所が審理請求を、予備請求段階で棄却することを求めているのです。
さて、韓東勳(ハン・ドンフン)長官の請求の行方はどうなるでしょうか。
検察から捜査権を完全に剥奪する法律の成立過程において、国民は『共に民主党』に対して反感を抱きました(リベラル鉄板支持層以外は)。そのため、韓東勳(ハン・ドンフン)長官の人気がまた上がることだけは確実です。
(吉田ハンチング@dcp)