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「東京メトロは上場、ソウル地下鉄は給与も支払えない」と嘆き節。日本と韓国で何が違う?

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韓国メディアはなぜか非常に自虐的な記事を出すことがありますが、『韓国経済』に日本の『東京メトロ』とMoney1で何度もご紹介している『ソウル交通公社』を比較した記事が出ました。

『ソウル交通公社』はソウル市の地下鉄を運営している公企業です。『東京メトロ』と『ソウル交通公社』は共に首都の地下鉄を運営しているというわけです。

しかし、業績の面で両社の明暗ははっきりしています。

『韓国経済』記事の自虐的な部分はいささか嘆きが深すぎるきらいもありますが、その比較分析はデータに基づいており優れた記事です。日本人にとっても非常に興味深いものですのでご紹介します。

『東京メトロ』は上場に向かっているというのに……

まず『東京メトロ』はIPO(新規株式公開)の準備に入っています。同社については、国土交通省が完全民営化に向けて株式上場を進めるべきという答申を出していました。国が53.4%、東京都が46.6%の株式を保有しているのですが、半分を売却することで国と東京都は合意に達しています。

『東京メトロ』は着実に利益を上げていますが、2020年はさすがにコロナ禍による旅客激減の影響を受けて赤字に転落しました。以下の業績の推移をご覧ください。

⇒データ引用元:『東京メトロ』公式サイト「決算情報」
上掲URLで公開されているデータを基にMoney1でグラフ化しました。

『東京メトロ』は株主である東京都に毎年60億円規模の配当を出しており、東京都にとっては優良な資産です。そのため上場については反対してきましたが、復興財源を確保したい国に上場を押し切られた形です。

『東京メトロ』は特別法によって設立された特殊会社です。

『ソウル交通公社』は巨額赤字が続く

一方のソウル地下鉄の方なですが、慢性的な赤字経営になっています。『ソウル交通公社』の当期純利益を円建てに換算して、『東京メトロ』と比較すると以下のようになります。

『ソウル交通公社』は赤字続きで、旅客激減に見舞われた2020年には当期純利益は「-1兆1,137億ウォン」(約-1,069.2億円)となりました。

2021年はこれが「1兆6,000億ウォン」(約1,536億円)まで拡大することと予測されています。この赤字体質のため、『ソウル交通公社』の社長は「従業員の給料も支払えない状態」と慨嘆しています。

『ソウル交通公社』を赤字にしているものは?

ここからが面白いのです。

『東京メトロ』と『ソウル交通公社』でこのような業績の差が出るのは、何が違うからでしょうか。以下をご覧ください。

『ソウル交通公社』『東京メトロ』
路線9路線9路線
距離319km195km
駅数293駅180駅
従業員数1万6,337人9,881人

営業路線距離で『ソウル交通公社』が『東京メトロ』の1.64倍、駅数が1.63倍ですが、従業員数は1.65倍です。

つまり、『ソウル交通公社』は『東京メトロ』の1.63~1.64倍の駅・営業路線を運営するために1.65倍の従業員を投入しているわけですから、ほんのわずかだけ効率が悪いかもしれませんが、『東京メトロ』を基準にするなら適切な規模といえます。

しかし、決定的に違うのは以下です。

2019年旅客収入
『東京メトロ』:3,464億円
『ソウル交通公社』:1,634億円(1兆7,024億ウォン)

⇒データ引用元:『韓国経済』「서울지하철 1조 적자 시달리는데…도쿄지하철은 증시 상장【정영효의 일본산업 분석】」

コロナ禍があったため2019年の比較になっていますが、旅客収入において『東京メトロ』は『ソウル交通公社』の2.1倍あります。

つまり、『ソウル交通公社』はその規模に比して売上が全く足りないのです。

で、いつもの結論になります。『ソウル交通社』は適正な金額に運賃を上げ、「高齢者無賃乗車制度」に制限をかけるなどの措置を取る必要があるのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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