先に速報でご紹介した韓国産の潜水艦がカナダに選ばれなかった件の続報です。

2026年07月06日17:10(現地時間)、カナダのカーニー首相はハリファックスを訪問し、潜水艦調達事業(Canadian Patrol Submarine Project:略称「CPSP」 )について、ドイツの『TKMS』を優先交渉対象者(Preferred Bidder)に決定。

↑「212CD級潜水艦」正面(CG)。
『TKMS』の「212CD級潜水艦」に軍配が上がりました。
政府ぐるみで注力していた韓国『ハンファオーシャン』の張保皐Ⅲ(KSS-Ⅲ)Batch-IIは敗北しました。
カーニー首相の発表後、すぐにカナダ政府からBackgrounder(背景説明の資料)が出ましたので、以下に全文和訳します。
ポイントとしては――、
現在の老朽化した潜水艦隊は、2030年代半ばから後半まで運用を継続され、戦力の空白を生まないために、最初の新型潜水艦4隻は、前倒しして2034年までにカナダに引き渡される
――という点です。
背景説明資料:カナダ政府、カナダ哨戒潜水艦プロジェクトを前進させる
発信元:防衛投資庁背景説明資料
カナダ政府は、カナダ海軍(RCN)の水中能力を更新・強化し、大西洋、太平洋、北極海における持続的なプレゼンスを確保するため、カナダ哨戒潜水艦プロジェクト(CPSP)を前進させている。2026年07月06日、カナダ政府は、カナダ海軍がカナダ国民の安全を守り、現在および将来の作戦即応態勢を維持するために必要な装備を提供する上での重要な一歩として、カナダの次期潜水艦隊の引き渡しに向けた交渉を開始する優先供給者として、ティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)が選定されたと発表した。
『TKMS』は、CPSPの要求事項を実現するために必要な契約またはその他の取り決めを最終化するための交渉に入る。
カナダは遅くとも2027年末までに契約締結を完了し、最初の4隻の潜水艦は予定を前倒しして2034年に引き渡される。
これは、ビクトリア級艦隊が2030年代半ばから後半に退役する予定より前の時期であり、カナダの潜水艦能力に空白が生じるのを防ぐ助けとなる。
カナダ哨戒潜水艦プロジェクトは、最大12隻の近代的潜水艦を引き渡すものであり、北大西洋条約機構(NATO)および北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)を含む同盟国との主権、大陸防衛、集団安全保障に対するカナダのより広範な約束を前進させるものである。
このプロジェクトはまた、2035年までに5%を達成するというNATO防衛投資誓約に向けた重要な貢献でもある。
カナダ哨戒潜水艦プロジェクト
CPSPは、老朽化したビクトリア級艦隊を代替する近代的潜水艦を引き渡す。この潜水艦は、ステルス性、持続性、致死性の比類ない組み合わせを提供し、カナダを取り囲む三つの海、すなわち大西洋、太平洋、北極海すべてにおいて、カナダ海軍が敵対勢力を探知、追跡、抑止し、必要な場合には撃破できるようにする。
このプロジェクトは、以下を含む幅広いカナダ軍(CAF)の作戦を支援する。
カナダおよび北米の防衛。NORAD任務を含む
同盟国およびパートナーとの国際作戦の支援
監視および情報収集の実施
海洋安全保障作戦の実施を可能にすること
北極圏におけるカナダの持続的なプレゼンスの維持これらの潜水艦は、均衡の取れた艦隊の重要な要素であり、カナダ海軍がカナダ沿岸の近海および遠方で、応答性高く効果的に戦力を投射できるようにする。
広範な任務において成功するために必要な柔軟性と持続力を備えるものである。
世界最長の海岸線を有するカナダにとって、水中監視能力を展開できる能力は、安全保障と主権にとって極めて重要である。
プロジェクトの前進経緯
カナダ政府は、優先供給者を特定するため、以下を含む厳格な複数段階の調達プロセスを実施してきた。2024年09月から2025年02月まで実施された情報提供依頼
2025年08月26日の2社の適格供給者の特定
2025年11月の提案指示の発出
2026年03月の提案提出カナダの防衛産業戦略に沿った入札内容の明確化および修正手続き。これは2026年04月29日に完了した。
永続的なパートナーシップ
CPSPは、カナダ、TKMS、ドイツの間の長期的なパートナーシップを意味する。このパートナーシップには、以下が含まれる見込みである。
潜水艦の設計、建造、維持整備に関する長期的協力
技術移転および技能開発の機会
同盟国の海軍プログラムとの緊密な協力カナダ政府は『TKMS』と協力し、合意の技術的、作戦上、経済的要素を最終化する。
カナダ産業の支援
CPSPは、以下によってカナダの海洋・防衛部門の成長と強靱性に貢献する。カナダ全土における高度技能雇用の支援
国内産業能力の強化
海軍・防衛技術におけるイノベーションの推進
サプライチェーンを通じた中小企業の関与CPSPは防衛投資庁によって前進させられており、カナダの防衛産業戦略と一致している。
BUILD–PARTNER–BUYの枠組みの下で、このプロジェクトはPARTNERアプローチを示すものである。すなわち、カナダが信頼できる同盟国と協力して能力を開発・提供しつつ、カナダにとっての産業的・経済的利益を確保するという方式である。
このプロジェクトは、カナダの産業・技術利益(ITB)政策の対象となり、この投資がカナダ国民に長期的な経済利益を生み出すことを確保する。
要点
2025年10月02日、首相は防衛投資庁(DIA)の創設を発表した。この新たな特別運営機関は、カナダの防衛調達制度を強化するために設立された。これは、進化する世界的脅威に対応し、作戦上の要求を満たすため、カナダ軍を再建し、再武装し、再投資することを目的として、プロセスを近代化するうえでの大きな前進を意味する。
DIAはカナダ政府の防衛調達を近代化している。同庁は、専門性を集中し、意思決定を合理化することにより、任務に不可欠な装備のカナダ軍への引き渡しを加速している。
カナダ海軍の現在の潜水艦隊は、2030年代半ばから後半まで運用を継続する。能力空白を生じさせることなく艦級間の円滑な移行を確保するため、最初の4隻の潜水艦は予定を前倒しして2034年に引き渡される。
潜水艦は、均衡の取れた艦隊の重要な要素であり、カナダ海軍がカナダ沿岸から遠く離れた場所で、応答性高く効果的に戦力を投射できるようにする。広範な任務において成功するために必要な本来的な柔軟性と持続力を備えるものである。
⇒参照・引用元:『カナダ政府』公式サイト「Backgrounder: Government of Canada advances Canadian Patrol Submarine Project」
(吉田ハンチング@dcp)






