「韓国経済は3%成長するから雇用も強いはずだ」という見方は誤り ⇒ 2026年の就業者の増加は当初予測の半分に下方修正。

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2026年08月06日、『韓国労働研究院』(略称「KLI」)が「KLI雇用労働ブリーフ第115号(2026-01):2026年上半期労働市場評価と下半期労働市場展望」を公表しました。

Money1でも何度もご紹介していますが、政府が何よりも大事にしなければならないのは、「雇用」です。雇用がなければ、人は食べていけないからです。

そのため、政府に対する評価は「雇用問題を良化させているかどうか」をもってまず測られなければなりません。その意味で現在の李在明(イ・ジェミョン)政府は評価できません。

ボンクラが主導する韓国政府の経済政策

そもそも韓国大統領に成りおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんが経済的な無知蒙昧であって、天性のポピュリストである彼には、自身の評価を上げるための「ばらまき」しか理解できません。

金容範(キム·ヨンボム)政策室長をはじめスタッフも左派・進歩系人士で自身の妄想を経済政策とするのに血道をあげており、資本主義・市場・自由主義経済を理解しているように見えません。

「自由主義経済」とは、国家が経済活動を全面的に指図するのではなく、個人や企業の自由な経済活動と市場での取引を基本として経済を運営する考え方・経済体制です。

――『KLI』のリポートに戻ります。

ここで述べられている主旨は非常に明確です。

韓国経済は表面的には成長率や輸出が改善しているが、その成長が雇用を生む部門に広がっておらず、実際の労働市場は急速に弱くなっている。

とりわけ若年層、常用雇用、知識基盤サービス業、製造業・建設業が弱く、下半期にも大幅な改善は期待しにくい。

――というのがリポート全体の結論になります。

まず、『KLI』は2026年上半期の雇用について、「数字の増加幅が小さくなった」こと以上に、「雇用増加を支える裾野そのものが狭くなった」ことを問題視しています。


↑国家データ庁の公表資料によっても韓国の雇用情勢は悪化していることが分かります。就業者数の増加は鈍化(2026年上半期:108千人)し、失業者数は増加。非経済活動人口は109千人まで増加しています。

上半期の就業者増加は前年同期比10万8,000人で、2025年のほぼ半分。

01~03月期は18万3,000人増だったのが、04~06月期には3万2,000人増まで急減し、05月には前年同月比4万人減となりました。

若年層の不振、高齢層の増勢鈍化、製造・建設業の減少、専門・科学・技術サービス業の減少転換、常用雇用の急減速が同時進行しています。

このリポートで最も重要なのは、「経済成長率が上がれば雇用も増える」という通常の構図が、2026年にはうまく機能していない理由を説明している点です。

『KLI』によれば、その最大の理由は経済成長の「半導体偏重」です。つまり、半導体一本足打法になっているのが主要因と指摘しているのです。

2026年の成長率見通しが上方修正された主因は半導体ですが、半導体はそもそも雇用誘発係数が製造業平均の半分にも満たない装置産業です。

韓国「半導体産業」は雇用を増やさない。雇用誘発係数わずか「1.6」
韓国は輸出産業に支えられており、輸出がこけると国が立ちゆきません。輸出産業の中でも特に重要なのは「半導体」です。何度もご紹介しているとおり、自動車や造船などこれまで韓国の輸出が弱体化していく中、韓国は半導体への依存度が高まっています。先にご...

「雇用誘発計数」というのは、「10億ウォンを投じたときに何人の雇用が創出されるか」を示すもので、詳細については上掲の先記事を参照してください。

しかも輸出額の急増にはメモリー価格の上昇が大きく寄与しており、実際の生産量増加ほどには雇用につながりません。一方、韓国の雇用の大部分を支える内需・非半導体部門の成長率は1%前後にとどまっています。

『KLI』自身が最後に非常に明確に整理しています。

雇用が成長に鈍感になったのではなく、雇用と結びつく成長が不振なのだ

という主旨です。

「韓国経済は3%程度成長するのだから雇用も強いはずだ」という見方は誤りであり、どの産業が成長しているのかを見る必要がある――というわけです。

下半期の雇用を左右するのもGDP成長率そのものではなく、内需と非半導体部門が実質的に回復するかどうかだとしています。

高齢者の就業者増加も限界に達しつつある

Money1でもしつこくご紹介してきましたが、労働人口の増加、また就業率の増加を支えているのは高齢者であり、具体的には60歳以上の人です。

しかし、それも限界に達しつつあります。高齢者雇用による「かさ上げ」が限界に近づいているのです。

これまで韓国では、高齢人口の増加に加え、高齢者の労働参加率上昇と政府の高齢者向け雇用事業によって、就業者数全体がかなり押し上げられてきました。

しかし2026年には、その力が弱くなっています。以下のグラフをご覧ください。

65歳以上を中心に政府の高齢者雇用事業を大規模に実施しているにもかかわらず、高齢者の就業者増加幅は縮小し、60~64歳では04~06月期に雇用率が低下しました。

『KLI』は、高齢者雇用の増加が人口増加と財政支援型雇用にますます依存するようになったと分析しています。

そのため、「65歳以上」と「60~64歳」を一括して「高齢者」として見ると実態を見誤るとも指摘しています。

60~64歳では製造業、建設業、小売業などの不振により雇用率が落ちている一方、65歳以上は政府の高齢者雇用事業などで増えています。

そして、かなり深刻なのが若年層です。

20代の雇用率は上半期に1.3ポイント低下し、全世代で最大の下落。若年層の就業者数は06月まで44か月連続減少、雇用率も26カ月連続低下しています。しかも人口減少だけでは説明できず、実際に雇用率そのものが落ちています。

さらに『KLI』が問題視しているのは、若者が失っている仕事が単なるアルバイトではなく、情報通信、専門・科学・技術サービス、製造業などの比較的「良質な仕事」や常用雇用に集中していることです。

新卒者の雇用率も悪化し、勤続3か月以下の新規就業者も減っており、問題は既存就業者の離職よりも「労働市場への入口が狭くなっていること」にあります。

興味深いのは、若者が大量に「何もせず休んでいる」というより、学校が雇用悪化の受け皿になっていると分析していることです。

20代前半では通学中の人口比率が上昇しており、『KLI』は、就職難のため卒業を延期したり、休学者が復学したりしている可能性を指摘しています。つまり、悪化した労働市場への参入を大学が一時的に吸収している、という見方です。

「雇用の質」が悪化している!

『KLI』は雇用の「質」についても警戒しています。

常用雇用の増加幅は前年の3分の1に縮小し、05月には1999年12月以来初めて減少しました。

しかも保健・社会福祉サービス業を除けば、常用雇用は5万人以上減っています。

逆に増えたのは非賃金労働者、つまり自営業者などで、上半期の就業者増加の約3分の2を占めました。『KLI』はこれを景気回復の証拠とは見ていません。

小売業では自営業者が増える一方で賃金労働者が減り、廃業届も過去最高水準だからです。

産業別では、状況はかなり偏っています。

サービス業全体では就業者が30万人増えていますが、その中心は保健・社会福祉サービス業の24万2,000人増です。

一方、専門・科学・技術サービス業は8万8000人減。情報通信、金融・保険などを含む知識基盤サービス全体では、前年上半期に20万人以上増えていたのが、2026年上半期には7万人以上減へと急反転しました。

つまり「サービス業が30万人増えた」という総量だけを見ると好調に見えますが、中身を見ると、民間の高付加価値サービス業が弱まり、保健・福祉、特に高齢者・政策関連雇用への依存が高まっているわけです。

製造業でも同様です。

半導体の好況にもかかわらず製造業就業者は減少しました。

造船・バイオなど一部だけが増え、繊維、衣料、電気機器、ゴム・プラスチック、非金属鉱物など幅広い業種で減っています。

つまり、輸出・生産指標の好調が製造業全体の雇用には波及していない――という評価しているわけです。

2026年の就業者の増加は当初見通しの半分になった!

これらの事実を踏まえて、『KLI』は――

昨年12月の見通しでは、2026年の就業者数が年間21万人増加すると予測されていた

この数字は年間の半期平均の就業者数増加数です(引用者注)。

しかし、上半期の実績は当時の予想を大幅に下回った。上半期の増加幅を22万人と予想していたが、実績は10.8万人にとどまった。

経済成長率の見通しは当初の予想を上回った一方で、就業者数の増加幅は予想の半分程度にとどまったという点に注目する必要がある。

――とし、

こうした環境の変化を反映し、2026年の就業者増加幅を10.3万人へと修正する

下半期の増加幅は、上半期(10万8,000人)をわずかに下回る9万8,000人になると見込まれる。

この数字も年間の半期平均の就業者数増加数です。つまり、上期:10.8万人 + 下期;9.8万人 ÷ 2 = 10.3万人 (引用者注

保健・福祉需要の増加や高齢者雇用事業の寄与が下半期の雇用増加を一定程度下支えするものの、昨年下半期の高いベースに加え、知識基盤サービス部門の採用調整や製造業・建設業の不振が続くことから、全体の雇用増加傾向は限定的になると見込まれる。

年間の雇用率は62.7%、失業率は2.9%と見込まれる。

この見通しが実現すれば、年間の雇用率は新型コロナ危機だった2020年以来、6年ぶりに低下することになる。

――と結論づけています。

「半導体輸出によってGDPは伸びているが、その恩恵が内需・非半導体産業・民間雇用に波及しておらず、従来韓国の就業者数を押し上げてきた高齢者雇用にも限界が見え始めました。

その結果、若者と常用雇用を中心に労働市場の基盤が弱まり、2026年下半期も雇用改善は限定的になる――という話なのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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