中国で自動車が売れなくなってきている――という件は先にご紹介しました。

上掲は『CPCA』(中国汽車流通協会・乗用車市場情報聯席分会)のデータを確認した記事ですが、「自動車が売れなくなっている」ことは、中国国家統計局のデータでも確認できます。
「2026年1—7月份社会消费品零售总额增长1.2%(2026年01~07月の社会消費品小売総額、1.2%増)」によれば、自動車消費は2026年07月単月で「3,130億元」、対前年同期比「-17.0%」という結果です。
この消費縮小の影響をアメリカ合衆国の電気自動車企業『Tela(テスラ)』もモロに食らっています。
中国内でテスラのクルマが売れなくなってきました。
同じく『CPCA』のデータによって、01~08月のテスラ車の中国内における小売販売台数の推移を、2025年と2026年を比較すると以下のようになります。

2026年の販売台数が2025年を上回ったのは02月と05月だけで、後は全月が対前年比マイナスです。
上掲では分かりにくいかもしれませので、2026年テスラ車の販売台数を「対前年同月比の増減」で月次のグラフにすると――以下のようになります。

01~08月の累計販売台数を比較すると――、
2025年:36万1,179台
2026年:31万6,251台
2026年の販売台数は対前年同期比で「-12.4%」です。
ところが上海ギガファクトリーの輸出数は増加している!
面白いのは、小売の販売台数は下落しているのですが、テスラの上海ギガファクトリーが輸出しているクルマの台数は増加しているのです。

↑上海市臨港地区にあるテスラ上海ギガファクトリー(Gigafactory Shanghai)。
同じく『CPCA』のデータによると、上海工場の01~08月の累計輸出台数は33万1,443台に達しており、前年同期比114.70%増加。同期間の卸売販売台数に占める輸出の割合は51.17%で、前年同期の29.94%から急上昇しています。
要するに、『テスラ』の上海工場からの輸出台数はテスラの中国国内小売販売台数を上回っており、販売台数全体の成長を海外市場に依存するようになっているのです。
――で、これが韓国にも影響しています。
先にご紹介したとおり、韓国の輸入自動車市場は「中国からの電気自動車」に蚕食されつつあります。
『韓国自動車モビリティ産業協会』(略称「KAMA」)のデータによると、2026年上半期統計では、「中国で生産されたEV」の韓国新規登録は、
2025年上半期:約2万5,000台
⇒ 2026年上半期:6万9,513台
で、前年同期比178.7%増です。
韓国EV市場に占める中国製EVの比率も、
26.8% ⇒ 35.0%
まで上昇しました。つまり、韓国で売れるEVのほぼ3台に1台以上が中国製になっています。
2025年上半期には中国製は23.5%、ドイツ製は40.3%でした。それが一年で逆転して、「韓国最大の輸入車生産国=中国」になってしまいました。
しかも、ほとんどがテスラの「Model Y」です。

↑韓国市場でバカ売れしている『Tesla』の「model Y」。
2026年6月には、
Model Y:9,188台
BYD Dolphin:2,828台
BMW 5シリーズ:2,266台
Mercedes-Benz Eクラス:2,114台
――で、7月にも、
Model Y:8,705台
BMW 5シリーズ:1,919台
Model 3:1,531台
Mercedes-Benz Eクラス:1,425台
――です。要するに、Model Yは「韓国でよく売れているEV」というレベルではありません。BMW 5シリーズやベンツEクラスを大差で引き離して、(韓国の)輸入車全体の販売ランキングを荒らしているのです。
中国でテスラ車が値下げ――という情報が出ていますが、これはもちろん露骨な在庫調整です。
中国市場で売れなくなってきて、在庫が増えており、これを消化するための手管です。中国で過剰生産されたテスラ車が韓国市場を蚕食し、ベンツなど欧州車も押し込めつつある――というのは非常に面白い構造です。
(吉田ハンチング@dcp)





