2021年08月26日、『韓国銀行』は基準金利を「0.75%」に上げると決めました。これが韓国株式市場にどのような影響を与えるのか、投資家心理が揺れています。
韓国の証券業界がどのように見ているか、という話です。
韓国メディア『毎日経済』の2021年08月26日付け記事から一部を引用します。
『韓国銀行』が基準金利を年0.5%から0.75%に0.25%ポイント引き上げた中で、証券業界では国内の証券市場に与える影響は限定的と見ている。
国内基準金利の引き上げは、すでに予想された手順であるだけに、証券市場に大きく影響を与える要因ではないということである。
(中略)
専門家は、『韓国銀行』がさらに年内利上げを断行すると、アメリカ合衆国のテーパリングと金利の引き上げ時期などが証券市場に大きな影響を与えると共通して強調した。
ソ・ボムジン『サムスンアクティブ資産運用』本部長は「今回の利上げの動きは、すでに市場に反映されているため、景気や株式市場への影響は限定的」とし「08月の利上げ以降、今年10月、11月にも追加の利上があるかどうかがより重要だ」と展望した。
(中略)
一部では、短期的に、国内の証券市場にマイナスの影響を与えるという意見も出ている。
チェ・ソクウォン『SK証券』知識サービス部門長は「利上げは予想されたものだが、全て反映された見るのは難しく、追加利上げがあるなら流動性の面でマイナスの影響を与えるしかない」とし「市場自体が収縮局面に入ったとは見えず、一時的な調整レベルと判断できる。金利引き上げのスピードが速くならなければ、株式市場の上昇余力は十分にある」と述べた。
というわけで、証券会社専門家は、今回の金利上昇の影響は限定的としています。
ただし、それも『韓国銀行』による追加利上げ、アメリカ合衆国のテーパリング開始・利上げがいつになるかによる――と意見は合致しています。
『韓国銀行』の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は、「0.75%でもまだ緩和的である」として、追加利上げを示唆していますし、合衆国ではテーパリング開始について議論されています(09月の『FOMC』に注目)。
これらが開始されるとその影響は大きなものになるでしょう。
もちろん下げ方向の影響になります。市中のお金の量を減らす方向の施策ですから、株式に投入する資金も減ると予想されるからです。
お金じゃぶじゃぶの「流動性の宴」が終わるのです。
実はすでに韓国投資家の株式取り引き金額は減少してきているのですが(この件は別記事にしてご紹介するようにいたします)、これよりさらに投入資金量が減少すると……株価を上げるのは難しくなると見ることが可能です。
また、当然ドルウォンレートもウォン安方向に傾く圧力が増します。基本、為替レートは通貨量の比で決定されるので、FRB(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)がテーパリングを開始すればドルの量が減って、相対的にウォンの価値が下がるからです。
『韓国銀行』の利上げは、この傾きが急になるのを防ぐために行った予防的措置と見ることも可能です。
というわけで、株価は下げ方向、ドルウォンレートはウォン安方向に傾く圧力が高まると考えられます。何度もご紹介していますが、金利が上がる局面の方が危ないのです。
(吉田ハンチング@dcp)