中国『紫金鉱業』(Zijin Mining Group Company Limited)がコロンビアのブリティカ金鉱山で爆破事件がありました。
この事件で、2人が死亡、コロンビア警察の方4人を含む14人が負傷したとして、同社は以下のようなプレスリリースを出しています。
コロンビア時間の2023年05月17日午後、Zijin Mining Group Co., Ltd.(以下「Zijin Mining」)の過半数所有子会社である『Continental Gold Limited Sucursal Columbia』(以下「コンチネンタルゴールド」)が運営するブリティカ金鉱山 )が爆発物を使用したテロ攻撃を受けました。
この攻撃により、『コンチネンタル・ゴールド』の警備・労働請負業者2名が命を落とし、コロンビア国家警察官4名を含む14名が負傷。この攻撃による中国人の負傷者はいません。予備調査では、この攻撃は地元の違法採掘組織によって行われたことが示唆されています。
事件を受けて、『コンチネンタル・ゴールド』はただちに緊急対応計画を発動し、緊急の地下救出活動を開始し、負傷者に治療をもたらすために必要なあらゆる措置を講じ、攻撃の余波を管理した。コロンビア政府は事態に対処するため安全保障会議を招集し、攻撃者らを厳罰に処すると発表しました。
ブリティカ金鉱山とコロンビア国家警察官に対するテロ攻撃は、国際鉱業に対する重大な犯罪です。『紫金鉱山』はこの攻撃に大きなショックを受け、憤慨しています。
私たちは犯罪者の凶悪な行為を強く非難し、命を落とした2名に対し深い悲しみと哀悼の意を表します。また、亡くなられた方、負傷された方のご遺族に心よりお見舞い申し上げます。
『紫金鉱山』は、事件の犯人、首謀者、資金提供者ができるだけ早く裁かれるよう、コロンビア警察と積極的に協力して事件の捜査を行っていきます。
われわれはまた、コロンビア当局に対し、違法採掘に関連する暴力と闘う取り組みを強化し、コロンビアで操業する企業の正当な権利とその操業で働く人々の安全を守るための効果的な措置を講じるよう要請します。
『紫金鉱山』は『コンチネンタル ゴールド』の69.276%の権益を保有しています。
2022年末現在、『コンチネンタルゴールド』の総資産は81億6,200万人民元、年間営業利益は29億9,500万人民元、純利益は2億1,100万人民元で、『紫金鉱業』の総資産の2.67%、1.11%、0.85%を占めています。
この事件により、ブリティカ金鉱山の地下採掘事業は、短期的にはある程度の影響を受ける可能性があります。
ご注目いただきたいのは『コンチネンタル ゴールド』が優秀な金鉱山を保有しており、その株式の約7割を中国企業がもっている点です。
『紫金鉱業』は以下のようにコロンビアの金開発について公表しています。
ブリティカ金鉱
コロンビアのブリティカ金鉱山は、世界最大の超高品位金鉱山の1つで、品位は 6.93 g/t です。2020年10月から操業しているブリティカは、『紫金鉱業』の金ビジネスの新たな成長分野となっている。ブリティカ金鉱山の技術向上と拡張は2021 年に完了する予定です。
設計能力に達した後、鉱山の生産能力は1日当たり3,000トンから4,000トンに増加し、年間の金生産量は7.8トンから9.1トンに増加します。
⇒参照・引用元:『紫金鉱業』公式サイト「ブリティカ金鉱」
このとれ高豊富な金鉱山で爆破事件があったのです。
問題なのは、中国が金鉱山の獲得に乗り出していると見られることです。2023年02月01日には、稼働中の金鉱山として南アメリカ最大級の規模である、スリナムのローズベル鉱山を買収したことを発表しています。
この『紫金鉱業』がれっきとした国有企業であるということです。
中国は外貨準備で金(Gold)の保有を増加させています。
先にご紹介しましたが、直近2023年04月時点で「6,676万トロイオンス」(約2,076トン)。03月から26万トロイオンス(約8.1トン)増えました。
2022年11月から6カ月連続の増加です。
これは米中の対立が深化しているのためと考えられます。外貨資産をドルに頼らなくても済むようにとのポートフォリオの分散ですが、これは一種の戦争準備と見ることも可能です。ロシアのように外貨準備を凍結された時への備えとして、です。
同時に、人民元の国際決済通貨化にも全力で取り組んでいます。中国は合衆国と中心とする自由主義陣営国から遠ざかっても大丈夫なようにしたいのです。
(吉田ハンチング@dcp)