デフォルトに陥って立て直しに必死なアルゼンチン。アルゼンチンペソは以下のように「なんだこりゃ」な通貨安が進行しており、全く止められません。
すでに外貨準備は尽きていると見られ、アルゼンチンは中国に泣きつこうとしています。外貨準備高が枯渇するようなことになると、輸入代金の決済ができませんので国に経済が回らなくなります。
アルゼンチンは中国との中央銀行間「通貨スワップ」拡大を要請するという情報が出ました。
中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』は以下のように書いています。
(前略)
アルゼンチンでは、セルジオ・マッサ経済大臣が今週、中国を訪問し、同国の通貨スワップラインの拡大を求めると報じられている。(中略)
アルゼンチンの声明によると、マッサは中央銀行である『中国人民銀行』の李剛総裁と会談し、スワップラインの「更新と拡大」について話し合う予定である。
(中略)
100%以上のインフレに直面しているアルゼンチンの中央銀行には「流動的な現金」の蓄えが残っていないと、地元のエコノミストは見積もっている。
今年、ペソの為替レートが対ドルで25%下落したため、深刻なペソの切り下げを防ぐための政府の「最後の手段」の1つが、アルゼンチンの既存の中国スワップライン(1,300億元(184億ドル)相当)だと『Bloomberg』は伝えた。
01月、中国とアルゼンチンは通貨スワップ協定を拡大した。アルゼンチンと中国の中央銀行のトップは、この取引が有効になったことを確認し、アルゼンチン市場における人民元の利用を深めることを約束した。
スワップは、1,300億元の外貨準備強化のための通貨交換と、350億元の外国為替市場でのオペレーションを補償するための特別発動で構成されている。
(中略)
2023年第1四半期の二国間貿易は46億8,000万ドルで、前年同期比6.6%増となった。中国の税関のデータによると、中国の輸入額は22億9,000万ドルに達し、58.7%増加した。
中国とアルゼンチンの間の最初の通貨スワップは2009年に締結され、3年間有効の700億元相当のものだった。2014年07月、双方は700億元の通貨スワップ協定を締結した。
2017年7月、中国の中央銀行はアルゼンチン中央銀行とのスワップ協定を更新した。この協定により、両中央銀行は700億元を1,750億アルゼンチンペソにスワップすることができるようになった。
両中央銀行は、2017年7月に締結した協定に加え、2018年12月に600億元の補足スワップ協定を締結。
2020年7月には、双方は協定を延長した。
アルゼンチン以外では、中国最大の商業銀行である中国工商銀行が04月にブラジル現地支店で初のクロスボーダー人民元決済を処理した。
ゴールドマン・サックスによると、ブラジル、チリ、メキシコ、ペルーの中南米4カ国の人民元保有額は300億ドルに迫り、2018年末から約10倍に増加した。
(後略)
アルゼンチンは中国に対して通貨スワップの金額拡大を要請する予定ですが、『中国人民銀行』はこれに応じる可能性があります。折しも中国は「ドル支配」から逃れるために、人民元決済を増やそうとしています。
アルゼンチンの人民元使用拡大はそれに利するものですが、脆弱なローカルカレンシーとの巨額スワップは諸刃の剣という面もあります。
人民元決済が拡大すれば、台湾戦争を起こし国際的に孤立したときの安全弁になります。
(吉田ハンチング@dcp)