2023年06月27日に開催された韓国「第8次 最低賃金委員会」がまた大揉めです。
そもそも2023年の最低賃金委員会は第1回目から波乱でしたが、またしても労働者側が全員退席するという事態となりました。
労働者側は、退席した理由を「労働者弾圧」としています。
弾圧も何も、労働委員から解任されたキム・ジュンヨン『金属労連』事務処長の代わりにキム・マンジェ『金属労連』委員長を推薦したのですが、雇用部がこれを「受け入れない」としたことに怒って退席しただけです。
そもそも解任されたキム・ジョンヨンさんは、05月31日に全羅南道光陽で「座り込み」活動を行って拘束されたためです。違法行為をした人間が政府も参加している委員会のメンバーであることはおかしいでしょう。
また、推薦されたキム・マンジェさんもキム・ジョンヨンさんと共同違反行為の疑いで捜査を受けています。
雇用部が「キム・マンジェさんを推薦するのは適切ではない」とするのも当然ではないでしょうか。
これが「労働者弾圧」になるのでしょうか。
ともあれ、労働者側が席を蹴ったのは事実で、経営者側は「2024年度の最低賃金」を「据え置きの9,620ウォン」と要求しました。
ご存じない方は記事末に再掲載した「韓国の『最低賃金を決める』仕組み」を読んでいただきたいのですが、来年度の最低賃金の決定は、06月末までに行わなければなりません。
つまり、本日を入れてあと2日しかありません。
労働者側委員は、「(推薦した委員が認められないとする雇用部の決定は)非常に失礼で恣意的な解釈」とし、「不当な理由と非常識な労働部の行動に言葉で表現できないほどの怒りと虚脱感を感じる」と述べています。
また。パク・ヒウン『全国民主労働組合総連盟』(民主労総)副委員長も「労働者に不利な構図で審議が行われるべきなのか反問せざるを得ない」と述べました。
併せてご紹介しておきますが、『民主労総』は同日、2023年07月03日から15日までの2週間、ソウルを含む15の地域で大規模な総ストライキを実施する――と公表しました。
このストライキについては「私たちが総ストライキに討って出る理由は、全ての領域で退行している現実を正さなければならないという切迫した状況のため」とし、「07月の総ストライキ闘争は尹錫悦(ユン・ソギョル)政権との全面的な戦いの出発点になるだろう」と語っています。
また『民主労総』が暴れることになりそうですが、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権がどう対応するのか、にご注目ください。
韓国の「最低賃金を決める」仕組み
韓国では、最低賃金は『最低賃金委員会』で決定されます。この委員会は、
・使用者(経営者)側の委員:9人
・労働者側の委員:9人
・公益委員:9人
・特別委員:3人
(企画財政部・雇用労働部・中小ベンチャー企業部の局長級公務員)
計:30人
で構成されています。
ただし、政府側の特別委員には議決権がありません。多数決を取る場合には、特別委員を除く27人の投票で決します。
審議要請を受けた日から90日後の06月末まで2024年度最低賃金を議決し、雇用労働部長官に提出しなければなりません。
雇用部は異議申し立て手続きを経た後、08月05日までに最終決定して告示することになります。
(吉田ハンチング@dcp)