韓国メディア『朝鮮日報』に『アシアナ航空』の経営が危ないという記事が出ました。
『アシアナ航空』は、そもそも2019年の段階で事実上破綻して、救済の買収問題が持ち上がり、それが結局2020年に破談に。すったもんだの揚げ句、政府主導(国産銀行『産業銀行』主導)で『大韓航空』との合併プランが推進されました。
『大韓航空』との合併ゴールに向かった現在も進んでいますが、国際的に合併が承認されるまでは油断はできません。
また、Money1でもご紹介したとおり、『大韓航空』との合併が決まってもそれで「もう大丈夫だ」にはならないのです。『大韓航空』も『アシアナ航空』も2020年にはコロナ禍の中、経営危機をなんとか政府からの輸血で救われていたのですから。
特に『アシアナ航空』の場合は業績が回復したとはいえませんので、キャッシュショートが懸念されるのです。
では実際の業績を見てみましょう。以下が公示された『アシアナ航空』の2021年第3四半期の結果です。
⇒データ引用元:『韓国金融監督院DART』公式サイト
第3四半期だけ見ると「営業利益:63億ウォン」(約6.1億円)とかろうじて黒字です。営業利益率はなんと「0.59%」しかなく、いつ赤転してもおかしくありません。実際、当期純利益は「-3,861億ウォン」(約-371億円)です。
2021年の累積業績は「営業利益:-250億ウォン」「当期純利益:-6,851億ウォン」と真っ赤です。
『朝鮮日報』が危ないといっているのは、(今に始まったことではないのですが)負債の多さです。確認してみましょう。
⇒データ引用元:『韓国金融監督院DART』公式サイト
負債比率を計算してみると「3,802.5%」にもなります。負債比率とは、負債が自己資本の何倍になるかを表しており、つまり『アシアナ航空』は自己資本の38倍も借金があることになります。
韓国メディアでは概(おおむ)ね200%(つまり負債が自己資本の2倍)で危ないと評するようですので、3,802.5%に達する『アシアナ航空』は危ないどころではありません。
しかも、流動負債が「5兆2,659億ウォン」(約5,055億円)にも達しています。流動負債というのは「1年以内に返済期限がくる債務」のことです。
上掲のような本業の営業状態でこの流動負債を返せるのかが大問題です。借り換えができなければ、どこかでキャッシュショートしてドボンな可能性が高いと考えられます。
そうすると、『産業銀行』など債権団から資金を注入してもらわないといけなくなります。『産業銀行』は「えっ、またオレが出すのー!」と叫びそうな気もいたしますが、乗りかかった船ですし、最後まで付き合わないと仕方がありません。
泥船でないことを心から祈念申し上げます。
(吉田ハンチング@dcp)