2023年07月14日、インドネシア・ジャカルタで開催の「ASEAN+3※」会議を機会に、日本の林芳正外相と中国の王毅政治局員(外交統括)の会談が行われました。
「王毅-林芳正」会談について中国の外交部が出したプレスリリース全文です。
王毅外相、林芳正外相と会談
現地時間2023年7月14日、王毅・中央外交部部長はジャカルタにおいて、日本の林芳正外相とアポイントに応じて会談した。
王毅は、「日中両国は45年前に平和友好条約を締結し、平和、友好、協力を堅持することを法的な形で規定し、両国の交流の不朽かつ永遠の原則と方向性を確立した。
双方は条約締結45周年を契機に、歴史に学び、未来に向き合い、本来の精神を実践し、正しく革新的であり続け、新時代の要求を満たす日中関係を共に構築していくべきだ」と述べた。
王毅は、「日中両国は45年前に平和友好条約を締結し、平和、友好、協力を堅持することを法的な形で規定し、両国の交流の不朽かつ永遠の原則と方向性を確立した。
双方は条約締結45周年を契機に、歴史に学び、未来に向き合い、本来の精神を実践し、正しく革新的であり続け、新時代の要求を満たす中日関係を共に構築していくべきだ」と述べた。
王毅は、「日中関係は現在、行き詰まるか後退するかの重要な段階にあると指摘。
日本側は中国を最大の戦略的挑戦と位置付け、中国を『脅威』としているが、日中関係の現実とは深刻な矛盾があるだけでなく、双方の『互いに脅威とならない』という重要なコンセンサスにも反している。
日本側が中国に対する客観的で理性的な認識を確立し、実践的な行動を通じて歴史の教訓を学び、平和的発展の道を堅持し、両国国民の感情を改善し、中日関係を健全で安定した発展の軌道に押し戻すことを希望する。
中国は、双方のあらゆるレベルでの接触、経済・貿易交流、文化交流の維持に前向きである」と述べた。
林芳正は、「日本と中国には幅広い分野での協力の大きな可能性があると述べた。
日本側は、最近の双方の緊密な接触を歓迎し、人文交流をさらに強化することを望んでいる。
日本側は中国との対話と意思疎通を強化することを非常に重視しており、日中平和友好条約締結45周年を契機として、両国首脳のコンセンサスに導かれた建設的で安定した日中関係を構築し、双方のハイレベル交流の条件を整えることを期待している」と述べた。
林芳正は、福島の原子力汚染水(原文「福岛核污染水排海问题」ママ:引用者注)の海洋放出問題についての日本の考え方を説明し、中国の理解を求めた。
王毅は、「日本からの原子力汚染水の排出は、海洋環境と人命・健康の安全に関わる」と強調した。
「原発事故による汚染水と原発の通常運転による排水は性質が全く異なり、比較することはできない。
原発事故による汚染水の海洋放出は、世界的にも前例がなく、一般的に認められた基準もない。
これは科学的な問題であると同時に、態度の問題でもある。
日本側は、全ての関係者の正当な懸念と専門家のさまざまな意見を直視し、この問題へのさまざまな対処法を科学的に検討し、近隣諸国と誠実に十分な意思疎通を図り、自分たちのやり方に固執するのではなく、慎重な対応を徹底すべきである」とした。
⇒参照・引用元:『中国 外交部』公式サイト「王毅会见日本外相林芳正」
中国の外交プレスリリースフォーマットに従って、自国要人が述べたことばかりが連なり、日本側が述べたことは数行となっています。
注目したいのは「日本が中国を『脅威』と位置づけているのは、『お互いにとって脅威にならない』というコンセンサスに反している」という下りです。
「日本および自由主義陣営国の脅威」に自らを変貌させたのは中国自身です。
日本からすれば「約束したけど、君は変わちゃったね」なので、その批判は自分に向けるべきです。
中韓の外交というのは、自分を顧みず、相手国を批判するばかりです。
福島処理水の問題についても、中国側は日本を批判したいためだけに行っており、今や拳を下ろすこともできません。
『IAEA』から「中国の原発から排出されている水の放射線レベルの方が……」と指摘されたくないたために、王毅は「原発事故による汚染水と原発の通常運転による排水は性質が全く異なり、比較することはできない」と予防線を張っています。
「うちのは原発の排水、福島は事故を起こしたから違う」――という呆れる言説で、「海洋放出できるように、中国の原発排水よりも環境に影響しないよう処理した水」を認めないのです。
「これは科学的な問題であると同時に、態度の問題でもある」に至っては笑うしかありません。
全くそのとおりなので、中国は科学的な検証がされていることを認め、態度を改めるべきです。
最後の「全ての関係者の正当な懸念と専門家のさまざまな意見を直視し、この問題へのさまざまな対処法を科学的に検討し、近隣諸国と誠実に十分な意思疎通を図り、自分たちのやり方に固執するのではなく、慎重な対応を徹底すべきである」も、「日本側は……」ではなく、「中国は」として、そっくりお返しするべきです。
――中国は、全ての関係者の正当な懸念と専門家のさまざまな意見を直視し、この問題へのさまざまな対処法を科学的に検討し、近隣諸国と誠実に十分な意思疎通を図り、自分たちのやり方に固執するのではなく、慎重な対応を徹底すべきである――が正しいでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)