韓国最大手の鉄鋼メーカー『POSCO(ポスコ)ホールディングス』が半期報告書を公示していますが、第2四半期の業績は大変よくありませんでした。
以下をご覧ください。
2023年第2四半期
総売上:20.1兆ウォン(-12.6%)
営業利益:1.3兆ウォン(-38.1%)
当期純利益:0.8兆ウォン(-55.6%)2023年上半期累計
総売上:39.5兆ウォン(-10.8%)
営業利益:2.0兆ウォン(-54.5%)
当期純利益:1.6兆ウォン(-56.8%)※( )内は対前年同期比の増減
⇒『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト
2022年台風で浦項鉄工所が水没するという緊急事態があり、それの影響が2023年第1四半期まで続きました。第2四半期からは大丈夫だろう――だったのですが、第2四半期の業績はよくありませんでした。
赤字ではありませんが、総売上は対前年同期比で「12.6%減少」。営業利益は38.1%減って、当期純利益はなんと55.6%の減少です。
昨年同期と比較して、純利益が半分未満にまで減ったのです。
通期(上半期まで)で見ても、対前年同期比で「営業利益:-54.5%」「当期純利益:-56.8%」で弱々です。
台風被害の影響が祟った第1四半期のせいといえば、それまでですが、実は『ポスコ』だけではなくて、韓国の他の鉄鋼メーカーの業績も良くないのです。
例えば、韓国第2位の『現代製鉄』は以下のとおりです。
2023年第2四半期
総売上:7兆1,383億ウォン(-3.3%)
営業利益:4,651億ウォン(-43.4%)※( )内は対前年同期比の増減
やはり、営業利益が大幅に減少しています。
なぜ韓国の鉄鋼企業の業績が悪化しているのかというと、
1.国内の建設業界の不景気
2.グローバルな需要の低迷
3.鉄鋼材価格の下落
などの理由によります。国内でも海外でも需要が低迷しているので、当然鉄鋼材の価格は下落しますし、売上も伸びません。
実は、4つ目の理由があって、円安効果によって韓国市場で日本の鉄鋼材が売上を伸ばしているのです。韓国鉄鋼企業からすると、これは困った事態です。
「通貨安政策は周辺国窮乏策」とはよくいったもので、韓国鉄鋼企業もそれに足を取られているのです。
面白いのは、この状況下で韓国メディアが中国市場に期待をかけていることです。
韓国メディア『毎日経済』の記事から引用してみると、こんな具合です。
(前略)
ただ、業界では中国当局が鉄鋼生産量を減らし、建設景気を浮揚させると明らかにしたため、下半期の需要回復に対する期待感を高めている。中国政府が下半期に不動産規制緩和政策を実施し、建築景気が回復すれば、中国内の鉄筋・形鋼需要が急増する一方、国産鋼材の輸出ルートが確保され、業績上昇が続くことが予想されるからだ。
(後略)※「形鋼」は断面がH形やL形などの形状になっている鋼材のこと
「中国政府が不動産規制を緩和すれば、需要が急増して業績も回復する」そうです。
期待するのは勝手です。
しかし、中国不動産市場は惨憺たる有様になっているのですが、そんな期待を持っていて大丈夫でしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)