中国はもはやリスクばかりの国になっています。
中国に進出した企業は電力不足で工場の停止を余儀なくされるというひどい目に遭っているわけですが、韓国企業もご多分に漏れずです。
Money1でもご紹介したとおり、例えば『SKハイニックス』は半導体工場を中国に増設していますが、よくまあリスクを省みず踏み切った、という話です。
しかし、韓国政府としては自国企業の窮地を放置するわけにはいきません。中国政府に「助けてほしい」とSOSを出しています。
「韓国企業に気を使ってほしい」と要請
2021年10月29日、韓国産業通商資源部の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長は、邢海明(シン・ハイミン)駐韓中国大使を接見しました(以下がプレスリリース)。
呂翰九通商交渉本部長は10.29(金)午前、邢海明駐韓中国大使を接見した。
中国の強力なコロナ19防疫措置により、両国間の高位級対面交流が容易ではない状況で、韓中経済協力の重要性に対する共感を確認し、韓国進出企業が直面している困難を解消するための支援など、懸案事項を深く議論するための場として設けられた。
2021年第3四半期「韓国の対中貿易」
輸出:1,179億ドル(対前年同期比:22.4%増加)
輸入:991億ドル(対前年同期比:26.9%増加)
貿易収支(輸出 – 輸入):188億ドル⇒参照・引用元:『韓国 通商産業資源部』公式サイト
上掲のとおり、韓国は2020年の景気の底から対中国貿易で大きく回復しています。
毎度のことながら、輸出(+22.4%)よりも輸入(+26.9%)が増えている点は気になりますが、それでも第3四半期で186億ドル(約2兆1,406億円)も稼いでおり、中国が韓国のお得意さまであることに変わりありません。
以下の要請が注目ポイントです。
最近の中国の電力供給制限に関連して、韓国の現地進出企業の生産支障を最小限に抑えることを要求する一方、主要原材料の安定的な需給のための協力を求める。
併せて、2021-2022韓中文化交流の年を迎えて、韓国ゲームに対する認可の拡大や知財権保護の強化などを通じて、両国間の文化コンテンツ交流がさらに活性化できることを強調する
※データ引用元は同上
うまくいっていれば、わざわざ駐韓大使と接見してこのような要求は出さないでしょう。韓国企業の、
「電力の供給を行ってほしい」
「主要原材料の供給を行ってほしい」
「韓国ゲームを制限しないでほしい」
「知的財産権の保護を行ってほしい」
は切実な問題となっていることが窺えます。
石炭不足その高騰に端を発する電力不足、工場への電力供給の制限が韓国企業に深刻な打撃を与えていることは明らかですが、それだけではなく、最近の中国の「ゲーム業界」に対する締め付けは韓国企業へも重大な影響を与えているようです。
要請とは書いてありますが、これは悲鳴であり、韓国から中国へのSOSです。
ここにきて、貿易の最大の相手国が中国であるという韓国のリスクが明らかになりつつあります。
(吉田ハンチング@dcp)