例の――韓国のELS問題です。
※「ELS」(Equity-Linked Securityの略:株価連携証券)という金融派生商品は、一時「国民的財テク商品」と呼ばれ、韓国の皆さんに大人気でした。
香港ハンセン市場の「CEI」(Hang Seng China Enterprise index)に連動したELSが元本割れを起こし、「このままではお金がなくなる」と購入した人が「販売した銀行、証券会社は元本保証をせよ」と散髪活動を行っています(上掲写真etc)。
「リスクがあるなんて聞いてなかった」と言い立てています。いい年をして、「この世にはうまい話なんかない」「投資にはリスクがあるのだ」ということを知らなかった――そうです。
韓国政府は、金融監督院を通じてELSを販売した金融機関に対して元本を保証しろ、損失を補償しろと圧力をかけています。
本件について『韓国経済』が面白い調査を行っています。
経済学部教授296人を対象に実施したアンケート調査(2024年02月10日から1週間)によると、「投資で損失を被った投資家に対する政府の補償策を策定するのは適切」と答えたのは、回答者46人中15人だけだった。
回答した教授の67.4%(31人)の教授は、政府主導の補償制度に反対を表明しました。
例えば、『ソウル大学』経済学部のキム・ジェヨン教授は「政府がこうしたルールを定めることは、投資家保護の観点からプラスの側面があるかもしれない。しかし、市場原理の歪み、金融機関の負担増加、国家規制による副作用など、より深刻なマイナス面も考慮する必要がある」と述べています。
至極当然の意見だといえるでしょう。
現在、韓国政府は与党である『国民の力』を勝たせるために全力を挙げています。ルールを曲げてでも国民の歓心を買いにいく可能性は捨てきれません。政府としては「あくまでも金融機関が自主的に損失を補償したこと」とバックレるために、金融機関にゴリゴリ圧力を掛けるに違いありません。
金融機関側が折れるかどうかにご注目ください。折れたら、韓国は投資損失を補償する国と認知されるときです。そして「ゴネ得」が通る国として汚点を残すことになるでしょう。
ちなみに、韓国ではELSの販売を禁止すべきという議論も起こっているのですが、『ウリィ銀行』は日本の「Nikkei225」を基準資産とするELSの販売を続ける――としています。
(吉田ハンチング@dcp)