日韓の間でたびたび話題になる「通貨スワップ協定」ですが、2020年01月21日『中央日報(日本語版)』に、「韓国政府が外貨流動性確保のために終了が近づいた通貨スワップの延長を推進する」という記事が出ました。
⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「韓国、中国・豪州などと通貨スワップ延長推進…終了から5年経過した韓日通貨スワップ」
https://s.japanese.joins.com/JArticle/261735?sectcode=300&servcode=300
2020年、韓国が各国と締結した通貨スワップ協定が次のように期限を迎えるとしています。
・対マレーシア:約47億ドル/01月24日満了
・対オーストラリア:約77億ドル/02月07日満了
・対インドネシア:約100億ドル/03月05日満了
・対中国:約560億ドル/10月10日満了
計:約784億ドル
韓国に経済的な危機が到来した際には、この約784億ドルが使えないと困る、そのため協定を延長する意向だというわけです。
『中央日報』のドル換算は甘い すでに74.5億ドル減!
上は『中央日報』の記事に合わせたドル表記にしていますが、「通貨スワップ協定」ですので、互いの自国通貨を融通し合う(交換する:そのため「スワップ」の名前が付いています)協定です※。
※二国間ではなく多国間で融通する場合もあります。
例えば、韓国とマレーシアなら、韓国の「ウォン」とマレーシアの「リンギット」を融通し合うわけです。
正確にいえば、韓国が上記各国から融通される金額と通貨は以下のようになるのです。
・対マレーシア:150億マレーシアリンギット(約36.8億ドル)
・対オーストラリア:100億オーストラリアドル(約68.5億ドル)
・対インドネシア:115兆ルピア(約84.2億ドル)
・対中国:3,600億元(約520.0億ドル)
計:約709.5億ドル
※上記は2020年01月24日0:03頃(日本時間)のレートでドルに換算。また人民元は「オンショアの人民元」で計算。
『中央日報』の記事では「約784億ドル」になっていますから、この段階ですでに「約74.5億ドル」も減少していますね。恐らく『中央日報』は、2017年の10月にあった「中国との通貨スワップ協定がどうなるのか分からない時期」に計算した金額をそのまま使っています。
ちょうどこの時期に、Money1でも中国との通貨スワップ協定の行方についての記事を上げました。以下がそうですが、その時のドル換算の金額が今回『中央日報』が報じた数字と同じであることが分かります。
https://money1.jp/archives/2539
※上記事は2017年10月当時のもの。中国との通貨スワップ協定が本当に延長されたのかについて疑念を呈しました。
つまり、韓国と通貨スワップ協定を締結した「マレーシア」「オーストラリア」「インドネシア」「中国」の通貨は、対ドルレートで変化があり、通貨スワップ協定で確保した金額もドル換算すると目減りしちゃったわけです。
危機時に必要なのはアメリカ合衆国のドル。それが無理ならせめてハードカレンシーでないと安心できません。
韓国が危機時に入手可能な「マレーシアリンギット」「オーストラリアドル」「ルピア」「人民元」は全てローカルカレンシーです。しかもドル換算で目減りしているとなれば、これはさぞ心細いでしょう。
(柏ケミカル@dcp)