2024年05月02日、中国では高速鉄道の主要4路線の運賃を大幅値上げすることを決定しました。
値上げ幅が尋常ではなく、1等席と2等席は約20%、「ビジネスクラス」では最大約39%になります。
読者の皆さまもご存じでしょうが、そもそも中国の高速鉄道は経営が無茶苦茶で――「営業距離は世界一で全長4万5,000km」と誇っていますが、黒字なのはその中の2,300kmしかない――とされています。
総距離で見ると、94.9%は赤字路線なのです。
「何やってんだ」という話ですが、お客さんがほとんど利用しない路線を拡張しまくった結果です。
なぜこんなことになるのかというと、不動産開発と同じです。なにせ土地を貸し出すお金が地方政府の巨大な財源ですので、「それいけ!」とばかりにインフラ整備に血道を上げました。
中央政府に認められるのはGDPを上げることですから、要らない高速鉄道の整備もその手管。中央に認めらて出世したい「頭の弱い」地方政府の役人共が開発を行って――できたものは乗客のほとんどいない高速鉄道――というわけです。
できたものは鬼城(ゴーストタウン)と同じです。
穴を掘るだけでもGDPは増えますが、高速鉄道を造ったら維持しなければなりません。これがただの「穴」と違う点です。莫大な維持費がかかって、ただでさえ採算が取れない高速鉄道会社をさらに赤字にします。
高速鉄道が利益を生んでくれるなら、借金を返していくなどもできますが、赤字なので利払いと元本払いの(造ったときの)債務はそのまま。高速鉄道ができたことでランニングコストの赤字も増えた――という、まさに「バカの二乗」となったのです。
使わない物を造って「お前はGDPをすごく上げたから、中央政府に栄転だ」と引き上げれたバカ者は、去っていくので責任を取りません。すごい国です、中国というのは。
で、今回の高速鉄道の値上げについて、海外メディアがなんといっているかというと、もう維持できないし地方政府は債務過多で傾いているからじゃないのか――という記事を出しているのです(『The New York Times』など)。
それはお金の話ですが、端的にいえば「考えなし」だからです。
国民はもちろん今回の値上げに対してブーブー文句を言っています。中国の皆さんは中国共産党という支配の仕組みがなくならない限りは決して救われないのです。
(吉田ハンチング@dcp)