アメリカ合衆国の株式市場には中国企業も複数上場していますが、幾つかの中国企業が裏側で「やりたい放題」していた状況が明らかになっています。
何もかもがウソだらけだった!
合衆国に『ウルフパック・リサーチ』という投資会社があります。
この企業を創設したダン・デビッド(Dan David)氏は、米株式市場に上場している中国企業の財務状況を長年研究してきた、「中国企業のウソを暴くエキスパート」です。
そんなデビッド氏率いる『ウルフパック・リサーチ』が、「中国のNetflix(ネットフリックス)」と称される大手動画配信サイト『愛奇芸(iQIYI)』のデューデリジェンス(投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査すること)を行ったところ、売上高を粉飾していることが判明しました。
2020年4月7日、『ウルフパック・リサーチ』は『愛奇芸』の調査報告書を公表しました。
これによると、『愛奇芸』は2019年の売上高を80億~130億元(約1,200億~1,970億円:2020年05月21日のレート「1元=15円」で換算)も水増ししていたことが分かったとのこと。
『愛奇芸』は否定していますが、『ウルフパック・リサーチ』は売上高だけでなく、ユーザー人数も改ざんしていたと指摘。何もかもがウソだらけだったのです。
中国企業のウソを追求する動きは続く!
『愛奇芸』だけでなく、他にも合衆国株式市場に上場した中国企業の「ウソ」が次々と明らかになっており、「中国のスターバックス」と呼ばれるコーヒーチェーン大手『ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)』も、2019年の売上高の改ざんがあったことが内部調査で判明。
2019年第2四半期から第4四半期の期間で、売上を22億元(約335億円:レートは同上)も水増ししていました。
空売り投資で有名なカーソン・ブロック(Carson Block)氏が最高投資責任者を務める『マディ・ウォーターズ・キャピタル』も「ラッキンコーヒーが商品販売数や販売価格を不正に改ざんした」との報告書を公表しています。
ナスダックは「上場廃止」を通告!
やりたい放題のまま野放し状態だった米上場の中国企業ですが、ついに裁きが下されることになりました。
先述の『ラッキンコーヒー』が2020年05月19日(現地時間)にナスダックから上場廃止の通達を受けたのです。
焦った『ラッキンコーヒー』は、ナスダック側が上場規定を順守しなかったと指摘。上場を維持するためにナスダックのヒアリング委員会に事情聴取を要請することを検討しているとのこと(委員会で審議が行われている間は上場は維持)。
ただ、今のところナスダック側はなんのアクションも起こしておらず、このままだと『ラッキンコーヒー』の株は紙くずになってしまいます。
『ラッキンコーヒー』は2017年の創業からわずか1年半でナスダック上場を果たしており、中国では「史上最速の米IPO」とその功績がたたえられていました。しかし、今回の上場廃止を受け、中国の国内紙は「電撃上場廃止」などと報じています。
ホワイトハウスは警告する!中国企業の証券を取り引きするな!
こうした中国企業の相次ぐ不正を受け、アメリカ政府は合衆国株式市場に上場している中国企業の監視を強化する方針を示し、ホワイトハウスも中国企業の証券を取り引きしないよう投資家に呼びかけています。
また、2020年05月20日(現地時間)には、アメリカ上院議会で「外国政府の管理下にないことを証明することを上場企業に求める法案」が全会一致で可決。
これは「上場企業は合衆国公開会社会計監督委員会(PCAOB)の監査を毎年受け、3年連続で外国政府の管理下でないことを証明しないと上場廃止になる」というもので、中国共産党の息がかかった企業をアメリカから排除するのが明らかな法案です。
政府の管理下でないことを調べるだけでなく、企業が不正をしていないかも調査されるので、今後『愛奇芸』や『ラッキンコーヒー』のように好き勝手できなくなります。
これだけ中国企業の「うそ」が明らかになれば、締め付けが強くなるのは当然のことでしょう。
⇒参照・データ引用元:『エポックタイムズ』「米上場中国企業の粉飾スキャンダル相次ぐ「中国のNetflix」など2社が新たに発覚」
⇒参照・データ引用元:『エポックタイムズ』「米ナスダック、中国ラッキンコーヒーに上場廃止を通告」
⇒参照・データ引用元:『ブルームバーグ』「米上院、中国企業の米国上場廃止につながり得る法案を可決」
(中田ボンベ@dcp)