韓国は不景気です。また、いまだにインフレ圧がくすぶっています。
韓国メディアは口を開けば「高金利・高物価・高為替(ドル高ウォン安)」といい、「いつ基準金利(政策金利)を下げるんだ」と金融政策に圧力を掛けています。
当たり前ですが、金利が低い方がお金は回ります(借りやすいので)、韓国メディアが言い張るのも分からないではありません。しかし、アメリカ合衆国『FOMC』(Federal Open Market Committeeの略:連邦公開市場委員会)が動く前に下げられるような状況ではないのは分かりそうなものなのですが。
↑金融通貨委員会でトンカチ(gavel:ガベル)を叩く李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁。
韓国では、基準金利の上げ下げは金融通貨委員会※が決定します(トンカチを叩いているのは『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁ですけれども)。
※念のために書きますが「金融委員会」というのは別の組織です。
2024年07月09日、企画財政委員会全体会議が行われ、議員から質問に李昌鏞(イ・チャンヨン)『韓国銀行』総裁が答えるという場面がありました。
面白いことに、『共に民主党』の安道杰議員から「就任前とは異なり、期待以上に政府からの独立性が低いという評価がある」という詰問のような意見が出ました。「政府からの独立性が足らないんじゃないか」というわけですが、ずいぶん見当外れの指摘です。
確かに中央銀行は、政府から独立しているという建付けではありますが、政府と関係なく何を行ってもいいわけではないのです。その国の金融制作を担うものとして、政府と話し合い、国家・国民のためになるのなら協調性を持つのは当然のことです。
実際、大統領室から「金利を下げることができる」という声が出ても、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は「こっちで決めるわボケ」といわんばかりの、木で鼻をくくったような発言を返しています。
立派です。どこが政府からの独立性が足らないのでしょうか?
李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は、安議員からの質問に対して、
「さまざまな階層の多様な意見を聞くが、意思決定は金融通貨委員会の委員と議論を通じて独立的に決定する」
「私の任期が終わった後、前向きに評価されるように努力する」
と回答しました。
↑李昌鏞(イ・チャンヨン)さんが『韓国銀行』総裁に就任したのは、経済的なボンクラ文在寅大統領末期の2022年04月21日でした。『韓国銀行』の総裁は4年間です。一度だけ連任が許されています。
また、韓国政府が『韓国銀行』から短期借入を続けていることについて以下のように発言しています。
「一時借入金制度に合わせて運営をしているため、現在の制度に関して私たちが違反していることはない」
「制度自体が意味は政府が税収を完全に予測できないため、こうした制度を通じて流動性を確保する制度は必ずあるべきだ」
税収がショートするときに備えて、政府が資金を調達する手段はあるべきとしましたが、現在の短借制度については「ルールに従って運営されている」とだけ述べました。先にご紹介したとおり、政府が中央銀行から直接短借するなどという制度は普通ありません。
これこそ中央銀行の独立性について議論されるべきポイントですが、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁はこの制度の善しあしについては言明を避けたのです。「借りなきゃ回んない」になっている政府の立場を慮ったものと見られます。「制度がある以上しゃーない」が本音ではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)