08月01日に発生したベンツの電気自動車を火元とする大火事が、韓国内に波紋を広げています。
にわかに「充電を90%までに抑えるシステム※にすべき」という提言で出ているのですが、当然ながら誰もがこう聞きたいでしょう。
「じゃあ充電を90%に抑えたら安全なのか?」と。
※にわかにBMS(Battery Management System)という言葉がメディアに頻出するようになっています。
この件について『東亜日報』が専門家に聞いた、という記事を出しています。韓国の専門家の方の意見を以下に引用してみます。
(前略)
バッテリー研究者である『浦項放射光加速器研究所』※のジョ・スグン研究員は、「100%充電されたバッテリーよりも、90%充電されたバッテリーの方が化学的に安定していますが、火災が発生する可能性に影響を与えるというより、火災発生後にわずかな違いを生む程度です」
と述べました。
またジョ研究員は、
「充電量90%の基準は、ひとまずの暫定的な対策といえるかもしれません。
充電量が半分以下に少なくなると、熱暴走の連鎖反応が著しく弱まりますが、メーカーごとにバッテリーセルが異なり、周囲の条件もさまざまであるため、安全基準を明確に定めるのは容易ではありません」
と指摘しました。さらに、
「最初の対策としては、電気自動車のバッテリー自体で火災発生を防ぐのが最も良く、電気自動車の充電器周辺のインフラなど、車両外部でも二次的、三次的な火災予防策を同時に整備する努力が必要です」
と述べました。
(後略)※「浦項放射光加速器研究所」(Pohang Accelerator Laboratory:略称「PAL」)は、韓国の慶尚北道浦項市にある研究施設で、『POSCO(ポスコ)』を母体とする『浦項工科大学』(POSTECH)内に設置されています。
どうもジョ先生の話では「充電量が半分以下に少なくなると、熱暴走の連鎖反応が著しく弱まります」なので、90%充電に抑えたからといって「発火しない」とは言えないのではないしょうか。先生ご自身が「火災発生後にわずかな違いを生む」と述べていらっしゃいます。
発火後にわずかな違いを生んでも……すでに火事を起こしているわけですから。
「電気自動車のバッテリー自体で火災発生を防ぐのが最も良く……」という先生のお言葉は傑作です。
それはもうそのとおりなんですが、「できない」からこんなことになっております。
総じていえば、90%に充電を抑えても「気休めにしかならなない」ということではないのでしょうか。
「K-バッテリー強国」なんて誇っているのですから「燃えない車載用電池」を造ってみてください。
(吉田ハンチング@dcp)