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中国の国営企業「増収減益」の危うさ。売上+1.6%で「利益-2.0%」

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2024年08月27日、中国政府の資産管理司が「2024年01~07月の国有企業の総売上・利益」について公表しました。

中国は、『WTO』(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)で約束したのと異なり、国有企業を増やしています。はっきりいえば、中国では国有企業ではなければ維持できなくなっているのです。

儲かりそうとなると、異業種でも参入してレッドオーシャンにしてしまい、利益が出なくなってドボン――というコースをたどるからです。

普通なら、ドボンになった企業は市場から淘汰されてしまうのですが、国有企業の場合には中国共産党の利権と結びついており、潰すわけにいきません。そのため、中国では利益の出ない企業が存続し、市場に残り続けます。「国有企業しか残らない」という状況になりながら、です。

以下をご覧ください。

2024年1-7月全国国有及び国有控股企業経済運行状況
2024年08月27日 | 出典:資産管理司

2024年01月から07月の期間、全国の国有および国有控股企業①(以下、「国有企業」と称す)の営業総収入は前年比1.6%増加し、利益総額は2.0%減少しました。

営業総収入
01月から07月の国有企業の営業総収入は47兆2,872.7億元で、前年比1.6%増加しました。

利益総額
01月から07月の国有企業の利益総額は2兆5,701.5億元で、前年比2.0%減少しました。

納税額
01月から07月の国有企業が納めるべき税費は3兆4,872.7億元で、前年比1.3%増加しました。

資産負債率
07月末の時点で、国有企業の資産負債率は64.9%で、0.1ポイント上昇しました。

本報告でいう全国国有及び国有控股企業には、国資委(国有資産監督管理委員会)や財務省が出資者としての責務を果たしている中央企業、中央部門および関連機関の所属企業、さらに36の省(自治区、直轄市、計画単列市)に所在する地方の国有及び国有控股企業、新疆生産建設兵団所属の国有および国有控股企業が含まれますが、国有の第一級金融企業は含まれていません。これらの企業は、農林牧漁業、工業、建設業、交通運輸・倉庫業、郵便・電信業、卸売・小売業、不動産業、情報技術サービス業など、さまざまな産業に所属しています。

企業の増減や株式の変動などの客観的要因の影響により、異なる期間で全国国有および国有控股企業の集計範囲に含まれる企業は完全に一致しません。本報告の前年比増加に関するデータは、当期集計範囲内の企業の当年データと、同じ基準で集計された前年同期データを比較して算出されたものです。

発表日:2024年8月27日

⇒参照・引用元:『中華人民共和国財政部』公式サイト「2024年1-7月全国国有及国有控股企业经济运行情况」

ご注目いただきたいのは、売上は対前年同期比で「+1.6%」ですが、利益は「-2.0%」と下落している点です。

つまり「増収減益」です。

増収減益は必ずしもポジティブには評価されません。むしろ経営の問題点やリスクが潜んでいる可能性があると考えられることがあります。

理由は主に以下の3つです。

1.コストが増加していると示唆するから
売上が増加している一方で、コストがそれ以上に増加している場合、利益は減少します。

例えば、原材料費や労働コスト、エネルギーコストの上昇が利益を圧迫することがあります。これにより、増収は達成しているものの、利益率が低下していると見なされ、つまり経営効率の低さを露呈しているとも考えられます。

2.価格競争による増収を示唆するから
売上増加が主に価格引き下げによるものだった場合、利益率が低下し、最終的に利益が減少することがあります。

このような価格競争に頼った売上増加は持続可能ではない可能性があり、健全な成長とは見なせないからです。

3.売上の質が低下してることを示唆するから
売上が増加していても、それが一時的な要因や低利益率の製品やサービスによるものである場合、企業の長期的な成長や安定性に対して疑念が生じます。

売上が増えたとしても、特定のキャンペーンや短期的な取引によるものである場合、その売上が継続的に維持されるかどうかは不透明だからです。

中国の鉄鋼業は利益が出なくなり、青息吐息であると報道されていますが、これはまさに上記のような状況に陥っていると考えられます。売上を上げようと、その過剰生産性を海外に輸出しているのですから外国はたまったものではありません。

(吉田ハンチング@dcp)

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