2025年04月30日、韓国の統計庁が「2025年03月の産業活動動向」のデータを公表しました。一応これで2025年第1四半期が締まったわけですが、これはいけません。
2025年03月 産業活動動向(前月比)
●生産(全産業)
全産業:0.9%増加
鉱工業:2.9%増加
半導体:13.3%増加
機械設備:3.1%減少
サービス業:0.3%減少保健・社会福祉:3.4%減少
卸売:3.5%減少●消費(小売販売)
小売販売:0.3%減少
⇒非耐久財(食品・飲料など):2.8%増加
⇒耐久財(通信機器・コンピューターなど):8.6%増加
⇒準耐久財(衣服など):2.7%減少●投資
設備投資:0.9%増加
建設既成:2.7%減少●景気指数
同行循環変動値:0.3ポイント上昇
先行循環変動値:0.2ポイント上昇⇒参照・引用元:『韓国 統計庁』公式サイト「2025年03月の産業活動動向」
国民生活とあまり関係ない「半導体」の生産が+13.3%と増加していますが、
サービス業:-0.3%
卸売:-3.5%
――が問題です。実際、消費(小売販売):-0.3%と減少しています。
建設不況が続く韓国で注目されている投資の指標が問題です。「建設既成」が「-2.7%」となっています。また当月も前月比で減ったのか――です。
「건설기성(建設既成)」 というのは、韓国の経済統計用語で「ある時点までに実際に完了した工事量」のことで「≒工事実績」を意味します。
建設業者が発注者と契約して、工事を進める中で、契約金額に対してどのくらい実際に工事を完了したか、を測るものです。完成した部分に対して、その時点で認められた金額ベースの実績を指しています。
実際に物理的に工事が進んだ分だけを計上しますが、それが対前期で減少しているのです。
しかし問題は対前期比ではなく、「対前年同期比」で見たときにどうなるか?――です。
「-2.7%」などでは済みません。
建設業界はアジア通貨危機以来で最悪の墜落!
見えるのは絶不調な状況です。以下をご覧ください。
⇒参照・引用元:『韓国 統計庁』公式サイト「2025年03月の産業活動動向」
ご注目いただきたいのは表組です。日本語訳したものを以下に示します。
↑黄色のマーカーでフォーカスしたのが「対前年同期比の増減」。
対前月比では「-2.7%」で済んでいますが、対前年同期比では「2025年03月:-14.7%」になるのです。
建設工事の実績は、2025年に入ってから、
01月:-27.4%
02月:-20.2%
03月:-14.7%
――と、対前年同期比でマイナス二桁%ポイントの大幅下落を続けている――のです。
この「対前期比・対前年同期比」の増減の推移をグラフにしたのが以下です。
対前年同期比では建設実績はずっとマイナスを続けており、2024年04月だけが「プラス」になっています。しかもそのマイナス具合は2025年になってから、第1四半期はまさに絶不調であることが分かります。
2025年第1四半期では対前年同期比で「-20.7%」。
まさに墜落です。
この減少幅は「1997年アジア通貨危機」(韓国での呼称は「IMF危機」)直後の1998年第3四半期に叩き出した「-24.2%」以来最大のものです。
ずんずん悪くなる韓国の建設業
建設業についての他の指標も悪化を続けています。
例えば建設受注額です。これが伸びないと、将来の景気回復もありません。以下をご覧ください。
■建設受注(経常:名目ベース)住宅など建築(33.8%)で受注が増加したが、機械設置など土木(-70.5%)で受注が減少し、前年同月比で8.7%減少
⇒参照・引用元:『韓国 統計庁』公式サイト「2025年03月の産業活動動向」
住宅などで増加したのに、土木で-70.5%を記録したというのです。
景気後退により雇用も冷え込んでいます。
2025年03月の建設業の就業者数は対前年比で18万5,000人減少しました。これはひどい数字で、統計が作成され始めた2013年以降で減少幅は最大となりました。
韓国にはまともな内需が不動産しかないので、不動産に直結する建設業界の不振は韓国のGDP成長率にも大きな影響を及ぼします。
『韓国銀行』は、2025年第1四半期の建設投資は前期比で3.2%減少し、GDP成長率を0.4%ポイント押し下げた――と明らかにしています。
「これはもう駄目かも分からんね」で、韓国の建設業は不振に陥っており、トンネルはいまだに抜けられません。韓国メディアでは専門家の言葉として、
「2022年後半以降、建設不況による新規受注、着工の急減の影響が強く出ており、回復の予想時期を測るのがますます難しくなっている」
――と紹介しています。「だんだん良くなる法華の太鼓」という言葉がありますが、「だんだん悪化する韓国建設業」です。
(吉田ハンチング@dcp)