ウォン安トレンドを進行させないために、『韓国銀行』は『国民年金公団』と為替スワップを契約しています。
これは巨額の投資資金を運用する『国民年金公団』に「ウォン売り・ドル買い ⇒ 海外投資」という流れの中で、市場での「ウォン売り・ドル買い」を行わせないためのものです。
市場でのドル調達の代わりに、『韓国銀行』(韓国外為当局)が手持ちのドルを供給します。
『韓国銀行』は、ドル供給の代わりに『国民年金公団』から等価のウォンを受け取ります。
満期が来たら、『国民年金公団』はドルを『韓国銀行』に返済、『韓国銀行』は『国民年金公団』にウォンを戻します(スワップバック)。
この『韓国銀行』と『国民年金公団』の為替スワップ契約は、2025年12月15日、最大650億ドルまで拡大されています。

↑『Bloomberg』の「為替スワップの使用」を伝える記事/スクリーンショット
『Bloomberg』は、この為替スワップが「12月17日に発動した(と見られる)」と報じました。記事タイトルは「Korea’s Pension Fund Starts FX Hedging After Swap With BOK(韓国の年金基金、韓国銀行とのスワップ後に為替ヘッジを開始)」です。
このときのドルウォンチャートがどうなっていたかを見てみましょう(チャートは『Investing.com』より引用)。

この日はウォン安の上値を抑えるための戦いの最中でした。
なんとかウォン安を進行させないように……というときに『国民年金公団』にウォン売り・ドル買いをされては困るので使用された、と見られます。
もっとも『Bloomberg』の記事では、あくまで匿名の関係者からの情報として、“has activated a foreign‑exchange swap agreement” (為替スワップ協定を発動した)――です。
『韓国銀行』が『国民年金公団』に提供したドルは、スワップバックで戻ってくるのでいいのですが、その分の流動性が失われるのが問題です。
(吉田ハンチング@dcp)





