先の記事でご紹介した、韓国『全国経済人連合会』の許昌秀(ホ・チャンス)会長が韓国経済に対する緊急提言。
韓国メディアによって「『日韓通貨スワップ協定』を締結すべし」(正確には「日本などとも通貨スワップを……」です)と提案したことは分かるのですが、具体的にどんなことを語ったのかについては不明でした。そこで『全国経済人連合会』公式サイトに当たったところ、プレスリリースがありました。
このプレスリリースから該当箇所を引いてみます。
[通貨スワップ拡大]日本は無期限・無制限スワップで金融危機の可能性を完全ブロック
最近、韓国は米国と6カ月・600億ドル規模の通貨スワップを締結して急に火を消したが、コロナ19によるドル需要急増に対応するためには基軸通貨国と通貨スワップを締結して、長期的に日本レベルに通貨スワップを拡大する必要があると提案した。
日本はアメリカ合衆国、EU、イギリスなどの主要基軸通貨国(原文ママ)と無期限・無制限の通貨スワップを締結して、通貨危機の可能性を遮断している。
従って韓国も通貨危機の可能性を先制的に遮断するために、長期的にアメリカ、EU、日本などの主要基軸通貨国と無期限・無制限の通貨スワップを締結する必要があり、そのために金融と通貨の競争力を強化しなければならないと述べた。
⇒参照・引用元:『全国経済人連合会』公式サイト「全経連ホ・チャンス会長『実体+金融複合危機、利用可能なすべての手段を動員しなければならない』<全経連、ホ・チャンス会長主宰の緊急記者会見>」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーラインは筆者による(以下同)
「無期限・無制限」と会長はおっしゃっています
まず、許会長は日本が通貨危機から縁遠い存在なのは、アメリカ合衆国、EU、イギリスなどのハードカレンシー保有国と無期限・無制限の通貨スワップを締結しているからだ、と認識しているように読めます。
ハードカレンシーがいかなるものかについてはあまり認識されていらっしゃらないようで、円が大暴落したりしないのは合衆国、EU、イギリスなどのおかげだといわんばかりですが、まあそこはスキップしましょう。
しかし、だから「韓国も」と次の文に続けるのは飛躍があるでしょう。日本ができるのだから韓国もできる、という間違った認識をお持ちなのかもしれません。
しかも、日本だけでも無理スジなのに「アメリカ、EUなどの主要国と無期限・無制限の通貨スワップを締結する」というのは、さらに無理スジです。
「そのために金融と通貨の競争力を強化しなければならない」と結んでいるので、現状は不可能っぽいとは認識されていると思えますので、その点には安心いたしますけれども。
誠に僭越ながら、日本には日本の、韓国には韓国の、それぞれの国情と環境がありますので、あそこにできるのだからウチも可能だなどと安易に考えるのは止めた方がよいと愚考いたします。
(柏ケミカル@dcp)