韓国主催の安全保障対話でフィリピンと中国が激突!⇒ 韓国の顔も潰される。

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2026年09月08日、韓国国防部が主催する安全保障会議「Seoul Defense Dialogue」(略称「SDD」)で椿事が発生しました。

SSDは韓国国防部が主催する「国防・安全保障の国際会議」

このSDDは韓国国防部が2012年から続く、毎年行われる「韓国主導の多国間安全保障フォーラム」で、今年2026年は第15回になります。

韓国国防部自身は「域内を代表するハイレベル多国間安全保障会議体」と位置づけています。

当初はアジア太平洋地域の国防次官級を中心とする会議として始まりました。

第1回には16カ国の国防当局者や民間の安全保障専門家ら約100人が参加。目的は、韓国が主導して各国の国防当局者を集め、朝鮮半島の安全保障問題について多国間で協議する場を作ることでした。

韓国国防部の過去の資料をさらにたどると、その源流は1991年に始まった「南北軍備管理セミナー」にあります。それを発展させ、北東アジア・アジア太平洋の安全保障問題を扱う多国間フォーラムにしたものです。

性格としては、NATOのような同盟でも、ASEAN地域フォーラム(ARF)のような政府間制度でもありません。

あくまでも韓国国防部がホストとなり、各国の国防相・国防次官、国際機関関係者、軍・安全保障専門家などをソウルに招いて議論する「国防・安全保障版の国際フォーラム」と考えると分かりやすいですね。

重要なのは、2023年から閣僚級に格上げされたことです。

もともとの「国防次官級対話」から、現在は各国の国防相が参加する会議に格上げされています。

今回の――2026年の第15回SDDは、09月07~09日、ザ・グランド・ロッテ・ソウルにて開催され、67カ国・国際機関の約1,000人が参加という規模です。

単なる講演会でもありません。本会議や特別セッション、ワーキンググループに加えて、参加国との二国間国防会談をまとめて行う外交の場として使われています。

韓国国防部が主催する、韓国を代表する国防・安全保障の国際会議なのですが……フィリピンと中国が激突するという椿事が発生しました。

しかも主催国である韓国のメンツを中国が潰すものでした。

フィリピン国防相が「中国の主張」メモを公開して批判

何が起こったのか、『朝鮮日報』の記事から一部を以下に引きます。

(前略)
ギルベルト・テオドロ・フィリピン国防相はこの日、韓国国防部の主催でザ・グランド・ロッテ・ソウルで開かれたソウル安保対話(SDD)本会議第1セッションにパネリストとして参加した。

テオドロ国防相は、国連海洋法条約(UNCLOS)を順守する必要があるとの内容を骨子として発言し、「それにもかかわらず、複数の国が順守していないのを見ることができる。これは違法なことだ」と述べた。

フィリピンは現在、中国と南シナ海の領有権をめぐって紛争を繰り広げている。このため、テオドロ国防相の発言は中国を念頭に置いたものと解釈された。

フィリピンは2013年、中国がUNCLOSに違反したとして常設仲裁裁判所(PCA)に提訴し、2016年に事実上の勝訴判決を得た。しかし中国は裁定を認めず、現在も南シナ海の大部分に対する領有権を主張している。

その最中、聴衆から送られたとみられるメモがテオドロ国防相に渡された。

テオドロ国防相は「中国側から渡されたメモのようだ」と述べ、内容を読み上げた。

メモは「PCA(Permanent Court of Arbitrationの略:常設仲裁裁判所:引用者注)による南シナ海仲裁裁定は違法であり、法的拘束力を持たない」という主旨だった。

テオドロ国防相は、「もしこれが中国が私に伝えた立場なのであれば、国連海洋法条約を床に投げ捨て、踏みにじる行為だ」と述べ、主催国である韓国に対して備えるべき基本的な礼儀さえないものだとした。

続けて、「これはもはやグレーゾーンではない。実際の威圧であり、嫌がらせであり、侵略行為だ」とした上で、

「私は自由な聴衆の前で、中国がどれほど切羽詰まっており、彼らの立場がどれほど説得力を欠いているのかを示す記念品として、この紙を保管しておく」と述べた。

この日、テオドロ国防相にメモを渡したのは、実際に駐韓中国大使館に勤務する武官だったことが分かった。
(後略)

⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「’中 쪽지’에 분노한 필리핀 국방… 韓 안보회의서 남중국해 충돌」


↑テオドロ国防相が公開した実際のメモ。『ロッテホテル』の名前が入っていますので『SDD』会場現場の備品を使ったものと思われます。

以下にメモ原文と日本語訳をご紹介します。

<<メモ原文>>
China’s position on the South China Sea arbitration is clear, consistent and firm.

The arbitration violates fundamental principles of international law.

The so-called award is illegal, null and void, and has no binding force. China neither accepts nor recognizes the award and opposes it and will never accept any claim or action arising from it.

China will continue firmly safeguarding its sovereignty, rights and interests in accordance with law, and handle maritime disputes with parties concerned through dialogue and consultation, to jointly safeguard peace and stability in the South China Sea.

<<日本語訳>>
南シナ海仲裁に関する中国の立場は明確で、一貫しており、確固たるものである。

この仲裁は国際法の基本原則に違反している。

いわゆる仲裁裁定は違法かつ無効であり、法的拘束力を持たない。中国はこの裁定を受け入れず、承認もせず、これに反対しており、この裁定から生じるいかなる主張または行動も決して受け入れない。

中国は今後も、法に基づいて自国の主権、権利および利益を断固として守り、関係当事国との対話と協議を通じて海洋紛争を処理し、南シナ海の平和と安定を共同で守っていく。

何が起こったのか整理します。

❶中国大使館の武官が韓国国防部主催のSDDで、演説中のフィリピン国防相に中国政府の政治的主張を書いたメモを届けるよう、韓国側のイベントスタッフに依頼。

❷韓国のスタッフは駐韓中国大使館の武官をフィリピン側関係者と誤認し、登壇中のテオドロ国防相まで中国側の反論を届けてしまった。

❸テオドロ国防相はメモを読み上げて激怒。内容を公開し「中国は開催国・韓国に対する基本的礼儀もない」と公然と批判。

――です。中国の国際法違反の反論「PCAによる南シナ海仲裁裁定は違法であり、法的拘束力を持たない」を韓国側がフィリピンの国防相に届けたことになりました。

テオドロ国防相は中国がフィリピンだけでなく、開催国・韓国に対しても礼を失したと公の場で言ったわけです。

本件は、中国-フォリピン間の南シナ海論争だけではなく、「韓国国防部が主催する公式の国際安全保障フォーラムの進行に、外国大使館の武官が勝手に割り込んだ」という側面を持っています。

韓国の国防部は本件について何もコメントしていませんし、表立って何も動いておりません。

韓国メディアは「メモを(スタッフに)渡したのは駐韓中国大使館の武官」と書いていますが、これが正しいのだとすれば、恐らく刘超威(劉超威)少将、あるいは劉超威下で働く下っ端武官ではないでしょうか。


↑駐韓中国大使館付きの武官処の責任者は「劉超威」となっています。これは2026年07月16日に行われた「中国人民解放軍創設99周年記念レセプション」に出席し、スピーチを行ったときの写真(於:ソウル)。

(吉田ハンチング@dcp)

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