韓国経済が危機に瀕しており、どの企業をとっても「瀕死」「頓死寸前」などの状況です。韓国政府が基幹産業と呼ぶ「自動車業界」では、特に『双竜自動車』はいよいよ倒産かというところまで追い詰められています。
頓死寸前という状況を示す記事が、2020年05月09日『中央日報』に出ました。記事より一部引用します。
『双竜自動車』の電子手形が明洞社債市場(明洞市場)にまで流入している。
借入金満期到来など、双竜車の流動性危機が深刻化すると、現金化を急ぐパートナーが明洞市場で割引を要請した。
明洞市場は手形割引時の割引率を月ごとに計算しており、割引率が10%を遥かに超えることもある市場だ。中小企業にとっては最後の資金調達窓口ともいえる。
金融投資業界の関係者は「銀行を通すと1%台での割引も可能だが、明洞市場に持ち込まれているのは、金融機関が『双竜自動車』の危機を真剣に見ている傍証だ」と語った。
⇒参照・引用元:『中央日報』「【エコノミスト】社債市場も受けない『双竜車手形』」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
同記事がエラいこっちゃと言っているのは『双竜自動車』の約束手形のことでしょう。約束手形は時期が来るとお金に換えてもらえるのですが、手元不如意な企業がキャッシュを支払うかわりにこれを渡すことがあります。
『双竜自動車』と取引がある企業、例えば部品を納入しているとか、そのような企業が同社から約束手形を受け取っていたとします。それが1億ウォンだったとして、これは期限がくるまではお金に換えられません。
ところが、その『双竜自動車』が飛ぶかもしれない、となるとどうでしょうか? 当然一刻も早く現金に換えないといけません。
「社長!ヤバイっすよ。『双竜自動車』が倒産するかも、ですって!」
「いかん、うちは1億ウォンの売掛金があるんだ!手形でもらってる!」
「どうするんスか!」
で、この社長が手をこまねいていると、その手形が紙切れになって、社員の給料も支払えなくなるかもしれません。
世の中とはよくしたもので、「割り引いてなら手形を買いますよー!」という仕事をしている業者がいるのです。
このような業者は、1億ウォンの手形を例えば5%割り引いて購入して、期限が来て現金に換えると――5%の「500万ウォン」儲かりますね(すみません。話をずいぶん簡単にしています)。
で、韓国の明洞社債市場にその手形がすでに持ち込まれている、と。
(前略)
[エコノミスト]取材の結果、『双竜自動車』が発行した電子手形は、4月20日から市場に入った。6月初め満期の同社が発行した3,000万ウォン台の電子手形であることが確認された。
(後略)
と同記事では書いています。
上記のとおり10%以上も割り引かれるような市場、つまり上記の例でいえば「1億ウォン」が「9,000万ウォン以下になる」かもしれないのに、持ち込まれているわけです。
持ち込んだ人の立場からすれば、満額でなくてもいいからとにかく早く現金にしないと!と思っているのです。
(前略)
『双竜自動車』の流動性危機が同社の電子手形の明洞市場流入を呼んだという分析だ。現在、『双竜自動車』は5月の給与支給も難しいほどの深刻な流動性危機に陥っている。
2016年第4四半期以降、昨年までの12四半期連続で赤字を出し、借入金が雪だるま式に増えた。
『双竜自動車』は今年中に、短期借入金2,540億ウォンを用意しなければならない状況にも直面している。
(後略)
と『双竜自動車』はまさに頓死寸前です。
ですから、そんな会社の手形を市場に持ち込まれても「要らないってば!」と敬遠されているのです。
(前略)
状況がこのようなので、明洞市場貸付業者は、『双竜自動車』の電子手形の割引に動いていないことが分かった。
(後略)
と同記事は書いています。
――というわけですので、いよいよ本当に危ないのです。
(柏ケミカル@dcp)