『韓国銀行』から05月の韓国の「国際収支統計(暫定値)」が公表されました。
韓国メディアからは「04月は経常収支が赤字だったが、05月には黒字に戻った。一安心だ」といった記事が出ています。
しかし、本当に安心なのでしょうか。韓国はコロナきっかけでドボンになってもおかしくない、とも考えられるのです。
「経常収支」「貿易収支」ってナニ?
それはまさしく韓国の「国際収支統計」から読み取れます。そのため、まず韓国メディアにも登場する「経常収支」と「貿易収支」についてご紹介します。
「経常収支(current account)」というのは、「外国との物やサービス、投資収益などの取引による収支」のことです。
至極簡単にいえば、その国が外国とのやり取りで黒字なのか赤字なのかを示す重要な指標です。面倒くさい方は飛ばしていただいてもいいのですが、経常収支は以下のとおり「貿易収支」「サービス収支」「第1次所得収支」「第2次所得収支」の4つの大きな項目から成っています。
「貿易収支(balance of goods)」は、経常収支の中の項目の一つで「外国との物(財貨)の取引による収支」です。収支ですので「輸出 – 輸入」で求められ、輸出の方が多ければ黒字になり、逆に輸入の方が多ければ赤字になります。
韓国の場合は輸出一本で食べている国なので、この「貿易収支」が最も注目され、黒字でなければ困るわけです。以下が2004年から2019年までの「年次」の経常収支と貿易収支です(単位:100万ドル)。
「貿易収支」の黒字の方が「経常収支」の黒字よりも大きいことから、韓国はまさに貿易による黒字によって成立しており、貿易以外の収支が赤字で、いわば貿易収支の黒字を食っている(足を引っ張っている:もうけを引き下げている)ことが分かります。
注目していただきたいのは、韓国の経常収支と貿易収支が最も好調だったのは2015年のことで、それ以降は右肩下がりできている点です。
2019年までの数字なので、コロナは関係ありません。
つまり、コロナ前から韓国は貿易収支の黒字が縮小してきており、国を富ませる力が弱まっているのです。韓国の夏はもう終わったと考えることも可能です。
「韓国の夏」はもう終わった
このことは韓国の統計庁(National Statistical Office)自身が熟知しています。
上掲の記事は、統計庁の発表をご紹介した記事ですから。
経常収支、貿易収支が縮小する(加えて赤転)と韓国は危ないのです。かつて「アジア通貨危機」「韓国通貨危機」と2回のドボン状況がありました。
以下は、2013年02月から直近の2020年05月までの「月次」で見た経常収支と貿易収支の推移です(単位:100万ドル)。2013年02月は朴槿恵大統領が就任した月です。
「経常収支」「貿易収支」共に2017年09月をピークに右肩下がりの傾向が見て取れます。2020年04月には新型コロナウイルス騒動のせいだとはいえ、ついに経常収支が赤字に転落しました。
05月には「22億8,610万ドル」の黒字になりましたが、果たして上掲グラフを見て「一安心だ」なんていえる状況でしょうか。
『韓国銀行』は、2020年末までコロナ状況が続けば、韓国企業の半分は借入金の利子も支払えなくなるだろう、という予測シナリオを発表していますが、それだけで済むわけはありません。コロナきっかけで韓国がまたドボン状況になっても別に不思議ではありません。
ここまで来ているのですから。
⇒データ引用元:『韓国銀行』「Economic Statistics Of Syatem」
(吉田ハンチング@dcp)