資金難で大変に苦しい状況に置かれている『大韓航空』の、例の売却問題の続報です。
まだこの面白い件についてご存じのない方は先に以下の「これまでのあらすじ」をお読みください。
「土地の競争入札が入札ゼロに終わった」というところまでご存じの方はあらすじは飛ばしてください。
<<これまでのあらすじ>>
①『大韓航空』は、ソウル市の鍾路区松峴洞(ソンヒョンドン)に敷地面積「3万7,000平方メートル」の広大な空き地を所有している。
②『大韓航空』はこれを「5,000億ウォン」で売却して資金繰りに充てたい。
③ところが、ソウル市が勝手に「この土地を公園にしまーす!」と整備計画を発表。
④当然『大韓航空』は「ふざけるな! オレの土地だぞ」とカンカン。
⑤「じゃあ、その土地買おうじゃないの」とソウル市が相談を持ちかける。
⑥「5,000億ウォンだよ」と『大韓航空』が答える。
⑦「2,000億ウォン(台)で買うよ。それでいいだろ」とソウル市が言う。
⑧『大韓航空』が真っ赤になって怒る。
⑨「ちぇっ。じゃあ公示価格に補償倍率をかけて、4,666億9,300万ウォンで買うよ。あ、建物があるからそれの補償費の4億4,000万ウォンも付けよう。計4,671億3,300万ウォンで買おうじゃないの」とソウル市が言う。
⑩「ふざけんな、時価より安いだろうが!」と『大韓航空』が怒る。
⑪「で(聞いてない)、代金だけど……まず契約金として10%を来年支払って、残りは2022年に支払うよ」とソウル市が言う。
⑫絶句した『大韓航空』が真っ赤になって怒る。
⑬頭にきた『大韓航空』は土地売却のため、競争入札を実施。
⑭ところが! 土地の開発許認可権はソウル市が握っているため、「落札しても開発できない可能性が高い」とどこも入札せず。
まさかの入札「ゼロ」という結果になる。
⑮ソウル市が「それみたことか」とほくそ笑む(筆者の想像です)。
と、散々な目に遭わされている『大韓航空』なのです。
『大韓航空』はこの問題を国政レベルに持ち込んだ
しかし、ついに怒髪天を衝くほど頭にきた『大韓航空』がソウル市を「国民権益委員会」に訴えるという行動に出ました。
国民権益委員会というのは、「腐敗防止及び国民権益委員会設置と運営に関する法律」に基づいて設置された、大韓民国国務総理直属の国家行政機関です。
行政に何か国民の権利を侵害するようなおかしな点がある場合には、それをこの機関に申し立てることができるのです。
つまり、これまでは地方自治体のソウル市と『大韓航空』のすったもんだだったのですが、『大韓航空』はこれを国政レベルにまで持ち上げたのです。
この件を報じた韓国メディア『ソウル経済』の記事から一部を引用します。
『大韓航空』が国民権益委員会に苦情を申し立てたのはソンヒョンドン土地売却についてである。
『大韓航空』は、新型コロナウイルス感染症(コロナ19)で深刻化した経営難を克服するために、自己救済策を進めている。
今回のソンヒョンドンの土地売却もその一環として推進された。
しかし、『大韓航空』の大地売却を主管するサムスンKPMG・サムスン証券コンソーシアムが10日に締め切った予備入札では、売却入札意向書(LOI)を提出したのは1カ所もなかった。
最近、ソウル市が文化公園に指定を推進して強制的に収容する意思まで表明したからだ。また、ソウル市は、第3者が土地を買収する場合、用途変更の許認可を出さないと明らかにした。
⇒参照・引用元:『ソウル経済』「大韓航空 『緊急事態にソウル市が松峴洞の土地売却を妨害』…権益委に苦情申し立て」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
というわけでソウル市は「お上に逆らうな」といわんばかりの態度に出ており、まさに民業圧迫もいいところです。
このもめ事がどう転ぶのか、また続報がありましたらご紹介するようにいたします。
(柏ケミカル@dcp)