合衆国国務省・中国担当のキーマン「余茂春」
余茂春(Miles Yu:マイルズ・ユー)さんをご存じでしょうか。
この人はアメリカ合衆国国務省の政策立案部門、中国関連政策の立案者・アドバイザー(顧問)として、一目も二目も置かれているキーマンです。「トランプ大統領の中国政策に大きな影響を与えたブレーン」であり、ポンペオ国務長官に「中国への処し方について大きな示唆を与えた人物」です。
現在の合衆国の対中国政策の的確な動きは、余さんの参加しているデビッド・スティルウェル国務次官補が率いるチームの功績です。そのため、余さんは中国共産党からは「裏切り者」と蛇蝎(だかつ)のように嫌われています。
ここまでが前フリです。
「多国主義」とは「同じ価値観を共有」して初めて成立する
その余さんが、カナダのシンクタンク「マクドナルド・ローリエ研究所」(Macdonald Laurier Institute:略称「MLI」)の主催するフォーラムにビデオで登壇しました。
フォーラム自体は「香港問題と中国政策」についてのものだったのですが、余さんは「多国主義は、共通の価値観を持つことに基づいている」と述べました。
つまり、「共通の価値観を持っている」とお互いを認識できないのであれば、多国主義など成立しない、といっているわけです。
この場合共通の価値観とは「民主主義・基本的人権の尊重など」を指しています。
その上で、中国共産主義の脅威に対抗するために民主主義社会では「民主主義の連合」が形成されつつあるとし、次のように発言しました。
私たちは日本、オーストラリア、イギリス、カナダ、EU、NATO、ASEANのメンバーを擁しています。
私たちは全て同じ価値観を共有しています。
あれ?と思われませんか。韓国がどこにも見当たりません。
韓国は「EU」「NATO」「ASEAN」いずれの加盟国でもありません。ですから、余さんの発言に韓国が入っていないのは確かです。
韓国は、余さんの言う「同じ価値観を共有したメンバー」ではないのです。
余さんの入れ忘れかもしれませんが、真意は伺ってみないと分かりません(笑)。もしかしたら韓国の現状を熟知しており、敢えて入れなかったのではないでしょうか。
(柏ケミカル@dcp)