世界的な自動車用半導体不足のため、2021年第3四半期までは自動車メーカーの業績も上がらないという見立てが有力になっております。
車載用半導体は特別な製品!おいそれと参入できるものではない
では、なぜこのように車載用半導体の供給が逼迫するのでしょうか。
その大きな理由の一つに、車載用半導体の特殊性があります。
自動車で使用されるため、過酷な環境に耐え、信頼性を損なわない堅牢性、さらには安全性が担保されたものであることが要求されます
諸説あるのですが、韓国メディア『BUSINESS watch』に登場したスペックを引くと以下のようになります。
稼働温度条件:-40~155度
在庫保有:30年以上
このような条件を満たす半導体をおいそれと製造できるわけはなく、非常に専門性の高い分野の製品ということになります。
その上、車載用の半導体は収益性の高い製品ではない、とされています。世界最大の半導体製造会社『TSMC』(Taiwan Semiconductor Manufacturing Companyの略:台湾積体電路製造)の、2020年第4四半期の売上高のうち、車載用半導体はわずか3%に過ぎません。
つまり、新規参入もなく専門性の高い製品であり、各製造企業が分業して世界の需要を満たしている状況で、そのため急に増産できるような体制にはなっていないのです。
今回の半導体不足は、そもそも需給の予測の読み違えに起因しています。完成自動車メーカーの予測に反してコロナ禍から自動車のニーズが急回復し、車載用半導体が足りなくなりました。また、寒波によってアメリカ合衆国の半導体工場でシャットダウンが発生。世界的車載用半導体不足に拍車をかけたのです。その上、台湾では水不足。
日本では、車載用半導体の一角を担う日本『ルネサス』の工場が火事になり、世界中から注目を集めました。同社の懸命の復旧でなんとか05月中に生産を再開できるとのことですが、世界のニーズに応えようと努力する現場の皆さんの頑張りには敬服の念を抱くしかありません。
えっ? 今から行くの?
韓国は「半導体強国」などと称していますけれども、車載用半導体の「98%」は輸入に頼っているのが現状です。そのため、韓国内の自動車工場が止まるというわけです。
世界的な車載用半導体不足に韓国の洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官が最近、「車載用半導体に韓国企業も取り組むべき」という旨の発言を行い、半導体産業にさらなる投資をすると表明しましたが、こと車載用半導体に関しては「えっ? 今から?」という感じが否めません。
(吉田ハンチング@dcp)