韓国「銅・ニッケル・石炭鉱山」を処分へ。投下資金の回収は困難な状況

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Money1では何度もご紹介している韓国『鉱物資源公社』の件です。この公社は負債を積み重ね過ぎ、資本蚕食も起こしており、事実上破綻しています。

負債総額は2020年決算で6兆7,535億ウォン(約6,384億円)。資本量が2016年の決算時点でマイナスになっていますので負債比率も計算できません。

⇒参照・引用元:『鉱物資源公社』公式サイト「要約貸借対照表」

上掲の貸借対照表のとおり、二進も三進もいかない財務状況です。

李明博(イ・ミョンバク)大統領時代に海外の資源開発に巨額の資金を投じてきたのですが、それがうまくいかずここまで赤字を積み重ねました。

もうとても持たないですから、損切りを行い、2021年09月に比較的財務状況がましな『鉱害管理公団』との合併が予定されています。

損切りの一環で保有している鉱山の権利の売却を進めているのですが、これに韓国メディアから批判の声が挙っています。資源価格が高騰している中、処分してもいいのか?という主張です。

銅・ニッケル・石炭鉱山の権利を売却する

とにかく財務状況がすでに破綻していますので、2021年03月にはチリのサントドミンゴ銅鉱山の権益30%分1億5,000万ドル(約165億円)で売却。投資金額の60%にしかなりませんでしたのでこれは大損です。

また、カナダの『Capstone Mining(キャップストーン・マイニング)』(主に南北アメリカの資源探査を行う企業)の保有分11%(4,019万8,632株)も全量売却済みです。

さらに『鉱物資源公社』では、パナマの銅鉱山、オーストラリアの有煙炭鉱山、マダガスカルのニッケル・コバルト鉱山の売却を進めています。

これらの動きについて、韓国メディアから反発の記事が上がっています。これからバッテリー産業を育てようというのに、銅とニッケルという重要な資源を手放していいのか、などと批判しているのです。

記事から一部を引用すると、以下のような具合です。

(前略)
鉱物資源は、次世代の高付加価値産業と密接な関連があり、各国が確保競争に乗り出している。

政府が08日、本格的に力を入れると明らかにした「Kバッテリー」産業だけとっても円滑な資源の確保なしには難しい分野だ。

現在売却されたり、売却が進められている事業の関連鉱物は、電気・水素自動車、次世代電池の核心素材だ。

特に銅・ニッケルは、それぞれ1年前に比べ40%以上価格が上昇するほど注目されている。国内に資源がない韓国としては、海外資源事業を無条件で売却して片付ければ、中長期的に企業と新産業部門への負担として作用するという指摘が出ている。
(後略)

⇒参照・引用元:『毎日経済』「Kバッテリー育てるといいながら…コア材料の銅・ニッケル鉱山安値で売る政府」

批判はもっともかもしれませんが、売却しないと赤字を積み上げるばかりなのでいたしかたありません。

例えば、マダガスカルのニッケル・コバルト鉱山には「4兆6,000億ウォン」(約4,416億円)も投入されましたが、2020年はコロナ禍による操業停止があって上半期だけで「1兆6,000億ウォン」(約1,536億円)の赤字を出しました。

これ以上の赤字を出すわけにはいかないという韓国政府の判断の下に売却が進行しているのです。損切りというのはいつも苦しいものですが仕方がないことでしょう。

(吉田ハンチング@dcp)

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