韓国は輸出一本で食べている国で、そのため貿易によるもうけが大きくないと国が成立しません。大事な貿易のもうけが逆に小さくなるような症状が現れています。
貿易のもうけが何より大事ですが……
貿易でのもうけは「貿易収支」として表され、「輸出金額 – 輸入金額」で計算します。
貿易のもうけである「貿易収支」を大きくしようとすると、当たり前ですが、輸出金額を大きくするか、あるいは輸入金額を小さくしなければなりません。
韓国メディアでは、ここのところ「輸出金額が対前年同期比○%上昇!」という記事を出していますが、では貿易収支は上昇したのか?という点についてはフォーカスしていません。
しかし、実はここのところ貿易収支が小さくなる傾向が見られます。
以下をご覧ください。直近の韓国関税庁による輸出入のデータです。
2020年と2021年の同期「08月01~20日」を比較してみると、2021年の輸出金額は「40.9%上昇」して「322億4,700万ドル」となっています。
ところが、貿易のもうけを示す貿易収支の方は、「2020年:-6億2,300万ドル」から「2021年:-35億1,300万ドル」へと、赤字が「5.6倍」にも拡大しています。
この赤字が黒字に反転する件はさておきますが、ご覧のとおり「輸出が増えたー!」じゃないのです。貿易のもうけが激減しているわけです。
輸入金額が激増した! なぜ輸入金額が増えた?
なぜ、こんなことになるかというと、「輸出 – 輸入」の「輸入金額」が激増したためです。
輸入金額は「2020年:235億1,000万ドル」から「2021年:357億6,000万ドル」へと、なんと「52.1%」も増えているのです。
これが貿易でのもうけ「貿易収支」が激減した理由です。
ではなぜ輸入金額が激増したのでしょうか。輸入品目の物価が上がったことがその理由の一つです。
『韓国銀行』がその証拠となるデータを2021年08月25日に公表しています。以下をご覧ください。
↑『韓国銀行』の資料から「輸入金額指数」の表組だけ引用します2021年07月
輸出金額指数:132.37(31.4%上昇)
輸入金額指数:148.79(38.2%上昇)⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「2021年7月の貿易指数と交易条件」
「輸入金額指数」「輸出金額指数」は共に2015年を100としたときの水準を示しています。まず、「輸出:132.37」に対して「輸入:148.79」と、輸入品目の物価水準が大きく上昇している点にご注目ください。
つまり、韓国が輸入する資源・中間財などの物価が、韓国が輸出する完成品の物価よりも大きく上がっているのです。値上がり率が前年同期比で「輸出:31.4%」「輸入:38.4%」と大きく違い、これを裏付けています。
さらに詳細に細目で見ることもできますが、大筋はこのとおりです。つまり、韓国にとって大事な貿易のもうけは、輸入品目の値上がりによって減るという事態になっているのです。
この傾向は資源価格などの上昇が止まらない限り続くものと思われます。
(吉田ハンチング@dcp)