「飛ぶや飛ばざるや」ではなく、もう「今日飛ぶか明日飛ぶか」になっている中国『恒大集団』。
ようやく日本でも名前が知られるようになってきた「宇宙一の不動産屋」※ですが、最新の投資家向けプレスリリースに「もうダメかも」と(ある意味正直に)書かれた部分がありますのでご紹介します。
以下は2021年09月14日に公開された『恒大集団』のリリースです。
↑注目ポイントは2ページ終わりから3ページにかけての部分です。⇒参照・引用元:『恒大集団』公式サイト「2021年9月14日内部情報-2021年8月31日以降の情報の更新とファイナンシャルアドバイザーの任命」
上掲のリリース内、赤枠で囲った部分は以下のように書かれています。
グループ子会社2社の保証債務が予定どおり履行されなかったこと、および関連する流動性の問題に関する最新情報
なお、2021年6月30日現在の当社グループの借入金については、中間決算短信の「経営陣による分析および検討-借入金」の項をご参照ください。
この発表の時点で、当社グループの子会社2社は、第三者によるウェルスマネジメント商品の発行を保証する義務を予定どおり履行しておらず、その関連額は約9億3,400万人民元(約158.8億円:筆者注)となっています。
当社は、合意された返済方法の実現に向けて、発行者および投資家と積極的に交渉しています。
上記のような流動性向上の困難さ、課題、不確実性を考慮すると、当社グループは、関連する融資契約等に基づく金融債務の継続的な履行を保証することはできません。
当社が保証などに基づく義務を期限どおりに履行できず、投資家や債権者との間で返済の延長やその他の代替案を取り決めることができない場合、既存の資金調達の取り決めに基づくクロス・デフォルトが発生する可能性があります。
その結果、関連する債権者から債務の繰上償還を要求される可能性があります。
これにより、当社グループの事業、見通し、財務状況および業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
※データ引用元は同上/赤アンダーライン、強調文字は筆者による
グループ子会社がすでに9億3,400万元の債務不履行(デフォルト)を起こしており、その件は返済について協議している、とのこと。
資金調達が困難になっているので、もはや「継続的な債務返済を保証することはできない」と書いています。
デフォルトを起こすかもしれないと自分で告白しています。
また、融資契約に基づく「クロス・デフォルト(cross default)」の発生に言及しています。
先にご紹介しましたが、クロス・デフォルトというのは、よその借金返済でデフォルトが発生したらこの融資もデフォルトしたとみなすよ――という条項のことで、つまり、Aという債務でデフォルトが発生した場合、クロス・デフォルト条項が盛り込まれた債務が次々とデフォルトになる、ということです。
簡単にいえば、誘爆です。
その時デフォルトした金額は小さく見えても、それが巨額のデフォルト、大爆発を引き起こす可能性があると自分で言っているのです。
爆心地からできるだけ遠くに逃げないといけません。
先にご紹介したとおり、『Bloomberg』には「20日期限の利息払いができない」という報道が出ています。同紙の報道が正しいのであれば、この4、5日が正念場で秒読み段階ということになります。
※以下はクロス・デフォルトも起こした中国『紫光集団』をご紹介した記事です。
※不動産ディベロッパーです。
(吉田ハンチング@dcp)