<<重要な追記>>
2025年11月14日、韓国の産業通商資源部から「米韓戦略的投資」についてMOUに署名された――とプレスリリースを出しました。
<<追記ここまで・以下元記事>>
2025年11月14日、韓国の大統領室が米韓関税交渉についてのファクトシートがまとまったとし、記者ブリーフィングを開きました。
韓国大統領に成りおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんも出席して「われわれにできることは耐えることだった」と泣かせる発言をしました。
大統領室が公表したプレスリリースを以下に全文和訳します。
米韓ファクトシート関連 金容範(キム・ヨンボム)政策室長ブリーフィング
2025.11.14経済・通商分野の共同ファクトシートについて私がご説明いたします。
主要合意内容は、経済・通商分野が5つのパートで構成されています。
まず、核心産業の再建および拡張セクションです。
このセクションには、両国間の戦略的投資MOUを通じた投資協力の拡大と、これを通じて確保したわが国の関税引下げなど、関税合意の主要内容が盛り込まれています。
まず、両国間の1,500億ドルの造船協力投資と、戦略的投資MOUに基づく2,000億ドルの投資を通じて協力することとした点を確認しています。
関税引下げに関しては、米側が相互関税を15%に引き下げ、現在賦課中の韓国産自動車および部品、木材製品に対する232条関税率を15%に調整する内容が反映されました。
今後賦課が予告されている医薬品232条関税の場合、最大15%を適用し、半導体232条関税は今後、韓国より半導体交易規模が大きい国家との合意があれば、韓国に対してはこれより不利でない条件を付与するようにすることで、事実上の主要競争対象である台湾に比べ不利にならない条件で合意いたしました。
また、既存の07月30日の関税合意に含まれていなかった航空機部品、ジェネリック医薬品および一部天然資源などに対する関税撤廃も反映しました。
第二に、為替市場安定セクションです。
韓国とアメリカ合衆国は、MOUが韓国の為替市場安定に及ぼし得る潜在的影響について十分に議論し、同MOUの履行が市場不安を引き起こしてはならないという点で相互に同意しました。
相互に信頼するパートナーとして、両国は年間200億ドルの資金調達額の上限を設定し、為替市場不安が懸念される場合には、韓国が資金調達規模および払い込み時期の調整を要請できるようにするなどの安全装置も反映しました。
商業的な結びつきの強化です。民間部門の投資、購買など商業交流の拡大を歓迎する内容が盛り込まれました。
去る08月の首脳会談を契機としてすでに発表した、わが国企業の1,500億ドル規模の対米直接投資、また大韓航空によるボーイング機103機の購入発表を再確認し歓迎するとともに、韓国が合衆国製品PRのための特別展示会を国内で開催し、両国間の交易拡大を支援する内容も盛り込まれています。
第四、相互貿易促進セクションについてご説明します。
この部分は、両国間の相互互恵的な貿易投資環境を造成するための自動車、農業、デジタルなど非関税分野の合意内容を中心にまとめたものです。
まず自動車分野では、07月末の関税合意を契機に申し上げていた自動車安全基準関連の事項が盛り込まれています。
現在、米韓FTAにより韓国は合衆国産自動車に対して、メーカー別に年間5万台まで米国安全基準を満たせば韓国の安全基準を満たしたものと認めていますが、両国はこの上限を撤廃することに合意しました。
ただし、昨年の合衆国産自動車輸入総台数が約4万7千台である点を考えると、これによる影響は大きくないと予想します。
次に農業分野です。
改めて申し上げますが、米、牛肉などわが国農業の敏感性を考慮し、追加市場開放は盛り込まず、両国間の協力と疎通を強化する方向で合意しました。
デジタルサービス分野では、ネットワーク使用料、オンラインプラットフォーム規制などデジタル法制度に関して、合衆国企業を差別しないようにするという原則的な内容で合意しました。
これら非関税分野の合意については、年内に米韓FTA長官級共同委員会を開催し、合意内容を履行するための具体計画を確定することにしました。
非関税関連の具体内容については、産業通商資源部長官と通商交渉本部長が本日午後3時に詳細にブリーフィングする予定です。参考にしてください。
最後に、経済的繁栄の保護セクションでは、関税回避防止、不公正慣行対応のための協力強化、投資安全審査強化などの分野で協力を継続することで合意しました。
次に、今回の共同ファクトシートに対する評価を申し上げます。
まず、戦略的投資MOUと関税引下げなど両国間の関税合意事項について明確に合意文として発表された点が最も重要な部分です。
MOUや関税引下げの詳細な意味については、前回の韓米首脳会談後、慶州でブリーフィングいたしました。今回もその詳細説明で代えさせていただきます。
第二に、今回の共同シートを通じて主要な非関税事項について原則的合意を導出することで、両国間の交易の不確実性を減らし、相互互恵的な方向で貿易を拡大していける基盤を整えました。
今後も両国間の通商摩擦で浮上し得る事項については、通商当局間が緊密に協議し管理していきます。
また、農業市場開放をはじめ、わが国側に過度な負担となり得る事項は含めておらず、韓国に進出した合衆国投資企業やわが国企業に役立ち得る制度改善事項も反映しました。
近く戦略的投資MOUに署名できるものと期待しており、関税引下げに関する具体的措置も合衆国側と協議中であり、まもなく発表されるものと期待しています。
非関税分野の履行のための米韓FTA共同委員会開催など具体事項については、通商交渉本部と米通商代表部(USTR)間で引き続き協議していく計画です。
2025年11月14日
大統領室 政策室長 金容範(キム·ヨンボム)
韓国側の発表なので、合衆国側の発表と照らし合わせる必要があります。
また「近く戦略的投資MOUに署名できるものと期待している」なので、まだ合意・署名はされていません。「関税引下げに関する具体的措置も合衆国側と協議中」です。
上掲の大統領室からの説明文が出た後、同じく2025年11月14日、韓国の産業通商資源部は「米韓戦略的投資」についてMOUに署名された――とプレスリリースを出しました。
ホワイトハウスが公表したファクトシートの全文はこうなっている
次にホワイトハウスから出たファクトシートを以下に全文和訳します。
大韓民国(ROK)の李在明(イ・ジェミョン)大統領は、10月29日、アメリカ合衆国(United States または U.S.)のドナルド・J・トランプ大統領を国賓訪問として迎えた。
これは韓国史上初めて慶州で国賓訪問が開催されたものであり、また08月25日にワシントンで両首脳が初めて会談して以来となる。
特筆すべきは、韓国が同じ指導者を二度目の国賓訪問として迎えるのも今回が初めてである。
2024年におけるトランプ大統領の歴史的勝利と、韓国の民主主義の強さと回復力を示した李大統領の当選を踏まえ、両首脳は、朝鮮半島およびインド太平洋地域の平和・安全・繁栄の要である米韓同盟に新たな章が開かれたと宣言した。
重要産業の再建と拡大:
トランプ大統領と李大統領は、米韓同盟の強さと持続力を示すものとして、07月に発表された「韓国戦略通商・投資協定(The Korea Strategic Trade and Investment deal)」の歴史的発表を再確認した。両首脳は、造船、エネルギー、半導体、医薬品、重要鉱物、人工知能・量子コンピューティングを含む(ただしこれらに限られない)さまざまな分野で、経済・国家安全保障上の利益を促進するための韓国の投資を歓迎した。
この協定には、合衆国が承認した造船分野への1,500億ドルの韓国投資(Approved Investments)が含まれる。
また、合衆国と韓国の代表によって署名される見込みの「戦略的投資に関するMOU」に基づき、追加の2,000億ドルの韓国投資が含まれる。
合衆国は、2025年04月02日付大統領令14257号(改正を含む)に基づく相互関税に関して、韓国原産品には、米韓FTA(KORUS FTA)または米国最恵国(MFN)のいずれか高い方の関税率、または15%のいずれかを適用する。
合衆国は、韓国産の自動車、自動車部品、木材、製材および木材派生品に対する232条関税を15%に引き下げる。
これらの韓国産品のFTAまたはMFN税率が15%以上であれば、追加の232条関税は課さない。
15%未満であれば、FTAまたはMFN税率と追加の232条関税の合計を15%とする。
医薬品に課される232条関税について、合衆国は韓国原産品への232条税率を15%以下を適用する方針である。
半導体(製造装置を含む)への232条関税については、韓国より半導体取引規模の大きい国家との将来の協定より不利にならない条件を韓国に提供する。
合衆国は、大統領令14257号(改正)に基づく追加関税のうち、以下の韓国産品について関税撤廃を行う:
ジェネリック医薬品、ジェネリック医薬品の成分、ジェネリック薬品化学前駆体、米国で入手不可能な天然資源など。また、韓国産航空機および部品に対する関税も、大統領令14257号、宣言9704号、宣言9705号、宣言10962号(各改正)に基づく関税から撤廃される。
外国為替市場の安定:
合衆国と韓国は、MOUに含まれる各自のコミットメントが韓国の外国為替市場安定に与え得る潜在的影響について徹底的に議論し、MOUに基づくコミットメントが市場不安を引き起こしてはならないという共通理解に達した。信頼できるパートナーとして、両国は韓国が年間で200億ドルを超える米ドルを調達する義務を負わないことで合意。
韓国は、市場でのドル買入を最小化するため、市場外の手段で可能な限りドルを調達するため最大限努力する。
MOUの履行が市場不安(例:ウォンの無秩序な変動)を引き起こす可能性がある場合、韓国は資金調達額および時期の調整を要請でき、米国は誠意をもって検討する。
商業的結びつきの強化:
両首脳は、民間部門による強固な二国間経済関係への信頼を示す戦略産業分野での商業的コミットメントを歓迎した。韓国企業は8月、トランプ大統領の任期中に1,500億ドルの対米直接投資を行うと発表し、両国はこれを最大限促進する。
大韓航空は08月、GEエンジン搭載のBoeing機103機の購入を発表(総額360億ドル)。
737 MAX、787、777Xなどで構成され、2025年の大韓航空のBoeing発注は150機超となる。両国は「Buy America in Seoul」イニシアチブを歓迎する。韓国が州政府と協力し、中小企業を含む合衆国企業を対象とした合衆国製品の展示会を毎年開催し、対韓輸出を促進する。
相互貿易の促進:
両首脳は、今回の協定が相互に利益となる貿易・投資の拡大という共通目標を反映していると認識し、非関税障壁の除去および相互貿易促進の行動計画を、年内にKORUS共同委員会が採択することで合意した。含まれる内容(ただしこれに限られない):
自動車:
韓国は、合衆国安全基準(FMVSS)に適合する合衆国産自動車が、追加改造なしに韓国へ輸入できる上限5万台を撤廃。韓国は、合衆国向け自動車輸出における排ガス認証に関して、合衆国提出資料以外の追加書類を要求しない。
農産物:
両国は、既存協定の履行、バイオ作物承認の迅速化、合衆国食品申請の滞留解消、合衆国園芸作物専用窓口の設置、特定名称を使用する合衆国産肉製品・チーズの韓国市場へのアクセスを確保する。デジタル貿易:
ネットワーク使用料、プラットフォーム規制などで合衆国企業を差別しないことを両国が約束。保険、位置情報、個人情報などのデータ越境移転を促進。
『WTO』における電子送信物への関税恒久的モラトリアムを支持。
競争政策:
韓国は、弁護士・依頼者間秘匿特権(Attorney-Client Privilege)の認定を含む公正手続を拡充。知的財産:
韓国は、特許法条約(Patent Law Treaty)への加入に必要な措置を継続。労働:
強制労働対策を含む国際的に認められた労働権保護を強化。環境:
韓国は、環境法を効果的に執行し、『WTO』漁業補助金協定の完全実施を含む環境差による貿易ゆがみを防止。経済的繁栄の保護:
両首脳は、競争力維持と供給網確保のため、経済・国家安全保障面の整合性を強化する必要性を認識した。これには、
関税回避の防止、
不公正・非市場的政策の是正、
対内・対外投資規制の強化、
国際調達義務を同等のコミットメントを負う国への利益として確実に提供すること、――が含まれる。
米韓同盟の近代化:
合衆国は、在韓米軍(USFK)の恒久的駐留を通じた韓国防衛へのコミットメントを強調。米国は、核を含む全範囲の能力を用いた拡張抑止を再確認。
両首脳は核協議グループ(NCG)など協議メカニズムを強化することで合意。
李大統領は、韓国法に基づき可能な限り早期に国防費をGDP比3.5%へ引き上げる計画を共有し、トランプ大統領はこれを歓迎。
韓国は2030年までに250億ドルの合衆国製軍装備購入、また在韓米軍支援として330億ドルを提供する計画を共有。
両国は、戦時作戦統制権移譲に向け協力を継続し、韓国が北朝鮮に対する合同通常防衛を主導できる能力確保を加速。
これには合衆国の先進兵器の取得、双方向の防衛産業協力の拡大が含まれる。
米韓は北朝鮮を含む地域脅威に対する米国の通常抑止態勢を強化し、2006年以降の理解事項を確認し、実施状況を継続報告。
サイバー・宇宙分野での協力拡大、軍事分野のAI協力の継続を確認。
朝鮮半島および地域課題での協力:
両首脳は朝鮮半島およびインド太平洋の平和・安全・繁栄へのコミットメントを確認。完全な北朝鮮非核化と地域安定を再確認し、2018年米朝シンガポール共同声明の履行を進める。
北朝鮮に対し、WMD・弾道ミサイルの放棄と国際義務履行のための真剣な対話復帰を要求。
日韓米三カ国協力の強化で合意。
航行・上空飛行の自由および海洋法遵守を確認。
台湾海峡の平和・安定の重要性を強調。現状変更の一方的行動に反対し、平和的解決を奨励。海洋・原子力パートナーシップの強化:
合衆国は、合衆国造船業の近代化・能力拡大への韓国投資を歓迎。韓国は、民生・軍事の原子力計画に対する米国の支援を歓迎。両国は、造船ワーキンググループを通じ、MRO、人材育成、造船所近代化、供給網強化で協力。
これにより、合衆国商船および合衆国艦艇の数を可能な限り早期に増加させる。韓国での合衆国船建造の可能性も含む。
二国間の123協定および合衆国法の要件に従い、合衆国は韓国の民生用ウラン濃縮と使用済み燃料再処理の平和利用へ進むプロセスを支持。
合衆国は韓国による原子力推進攻撃型潜水艦の建造を承認。燃料調達を含む要件整備で緊密に協力する。
――となっています。
2025年11月14日、韓国の産業通商資源部は「米韓戦略的投資」についてMOUに署名された――とプレスリリースを出しました。
(吉田ハンチング@dcp)








