小ネタかもしれませんがご紹介します。誠に申し訳ありません。
先にご紹介したとおり、EU欧州委員会は韓国造船大手の『現代重工業』『大宇造船海洋』の合併について否決しました。これで韓国政府、国策銀行『産業銀行』が考えたビッグディールは全部パーになりました。
赤字続きの造船業を救う方法が八方ふさがりになりましたので、韓国にはかなりの衝撃を与えています。
韓国メディア『毎日経済』に「大宇造船売却の呪い…最初の売却では、金融危機、今回はコロナ19」という記事が出るほどです。
以下に記事の一部を引用してみます。
(前略)
『大宇造船海洋』は国際通貨基金(IMF)事態以後、『大宇グループ』が流動性危機に直面して売り物として初登場した。(中略)
23年間の売却機会は二度あった。
今回霧散した『現代重工業』への売却は、2019年初めにに『現代重工業』と『産業銀行』間の売却合意書を基に本契約を締結、各国公正競争当局承認を前提に取引を最終完了することにした。
しかし、コロナ19が爆発し、EU公正競争当局の審査は遅れた(そしてこれが今回パーになった:筆者注)。
その間、グローバルサプライチェーンのボトルネック現象が生んだ「逆説」のため、造船業は復活が本格化した。
コロナ19以降、国内の造船会社は液化天然ガス(LNG)運搬船でまばゆい受注実績を上げた。
このような受注実績は、なおEUが今回の『大宇造船海洋』を不許可な理由になってしまった。意図されたことではないが、コロナ19が売却を台無しにした。
(後略)
コロナ禍に見舞われた2020年の反動で、2020年の終わりから造船需要が復活し、これによって韓国造船業はLNG運搬船の「受注ラッシュ」となりました。一方でLNG運搬船の韓国造船会社によるシェアが高まり、EU当局に「合併すると独占的企業になる」と判断された――という説明です。
先にも書きましたが、独禁法違反にならないのかという点を考慮する審査が行われている状況で、「受注ラッシュだ!」「ジャックポットだ!」と浮かれていた自分たちの無思慮な態度をこそ反省すべきでしょう。
こういうのを「考えなし」と呼ぶのではないでしょうか。
また、「呪い」というのは穏やかではありませんが、これは『大宇造船海洋』の売却案が出た時期が韓国経済の危機だったアジア通貨危機、コロナ危機とほぼ同時に起こっている、という話。
しかし、経済が危機的な状況だからこそ会社も傾いて売却話が出るわけで、因果関係をうんぬんするのというのもおかしな話です。ましてや呪いなどと。
ともあれ、経営が傾いている『大宇造船海洋』をどうするんだ、という話は振り出しに戻りました。『産業銀行』は本当にどうするんでしょうか。
次は『大韓航空』と『アシアナ航空』の合併をEU、あるいはアメリカ合衆国が否決したらどうするのか――が注目されます。こちらも否決されたらプランが全部パーです。
(吉田ハンチング@dcp)