韓国ではそろそろ不動産バブルが弾けるのではないか、と警戒されています。
韓国では不動作価格は下がらないという、右肩上がりの神話が生きており、特に前文在寅政権下で急騰しました。これは2020年のコロナ禍の際にじゃぶじゃぶと流動性を拡大したことが理由の一つです。韓国史上最低の低金利を背景に、ここぞとばかりに不動産を購入する人が増えたのです。
投資が過熱すると、当たり前ですが不動産価格は急上昇します。
以下をご覧ください。マンション1平方メートル当たりの売買平均価格の推移です。
※データ出典は『KB不動産』/2013年04月~2022年07月
文政権の期間(2017年05月~2022年05月)に異常に上昇しているのがお分かりいただけるでしょう。
全国:380.3
ソウル:703.58
※1平方メートル当たりの売買平均価格(単位:万ウォン)
だったものが、
全国:686.74
ソウル:1,560.85
※1平方メートル当たりの売買平均価格(単位:万ウォン)
になりました。全国平均で「1.8倍」、ソウル地域では「2.2倍」になったのです。
ソウル地域では、2022年05月に1平方メートル当たり「1,560万8,500ウォン」ですから、55平方メートルの物件を購入すると、8億5,846万7,500ウォン。
日本円に換算して「約8,585万円」です。平均でこの金額になるので、いかにソウルのマンション価格が高騰したのかが分かります。
2021年には首都圏のマンション価格は25.4%上昇していますが、これは2002年の「29.27%」に次ぐ上昇幅でした。
不動産価格は下げに転じるか?
「いくらなんでも上がり過ぎだ」というので、バブル崩壊が懸念されています。上掲のグラフのとおり、天井圏で停滞しており、ここから下げが始まるのではないかと見る向きが多くなってきました。
実際、ソウル全体では07月には0.03%の上昇しているのですが、上げ幅は2022年に入ってから最も低い水準となりました。また、01~07月で見ると、
城北区:-0.30%
延寿区:-0.50%
南島区:-0.12%
西区:-0.18%
と下げた地区が目立つようになっています。同期間で京畿道では、
安養市中区:-2.27%
水原市永通区:-2.26%
華城市:-2.20%
義王市:-1.28%
光明市:-1.14%
などが下落幅が大きい地区です。
資金調達が難しくなったので……
そろそろ危ないかも……という感じではあります。先にご紹介したとおり、「不動産価格は30~40%落ちる」という先生もいらっしゃいますが、そんなことが実際に起こったら阿鼻叫喚の地獄絵図です。
不動産市場が沈滞している原因の一つは、金利を上げているからです。金融当局が基準金利を上げると、不動産ローンの金利も上がります。
資金を借りにくくなるため、当然、不動作の購入に歯止めがかかります。また、家計負債の異常な増加に歯止めをかけるために、金融当局が貸し出し規制のワクをはめたのが効いています。
実際、家計負債の増加には歯止めがかかったのですが、資金が借りにくくなったので購入者が減って、これが不動産市場の沈滞を生んでいるのです。
また、金利が上がっているので、変動金利で住宅ローンを返済している人にとっては大打撃です。利払いに耐えられなくなって、不動産を売却する人が増加すると……これが価格を下落させます。
みんなが「もうおしまい」と思ってしまい、売りが始まると、売りが売りを呼んで価格が暴落します。韓国政府としては、そのような事態は絶対に避けなければなりません。
このような背景の下、さあ韓国の不動産価格がどうなるか、です。
バブル崩壊が本当にくるかどうかにご注目ください。尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は、あっちでもこっちでも火のつきそうな導火線に水をかけて回らないといけません。
(吉田ハンチング@dcp)