「韓国通貨危機時と似てきた」という指摘。ウォン安で経済を復元できないかも

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ウォン安が過去の経済危機時の水準まで上昇し、韓国のネットでは「韓国は滅びるでのですか」といった先走った書き込みが見られます。

「少し落ち着け」ですが、今回のウォン安急進はこれまでとは違い、非常に面白いものです。傍で見ている分にはいいのですが、その渦中にいる韓国の皆さんは「面白いで済むか!」でしょう。

韓国メディア『MBC』に「再び広がる金融危機の悪夢…何が同じで何が違うのか」という記事が出ました。

これは「2008年~2009年の韓国通貨危機時と現在の状況が似通っていないか」――とする内容です。

記事の冒頭に、2008年08月に『韓国銀行』が出した外貨準備高についてのプレスリリースが引かれています。

上掲がそれですが、「07月末現在、韓国の外貨準備高は2,475.2億ドルで、前月末に比べて105.8億ドル減少。外貨準備高の規模は世界6位水準を維持」と書いてあります。

先日出た2022年09月の外貨準備高についてのプレスリリースには、「09月末現在、韓国の外国為替 保有額は4,167.7億ドルで前月末比196.6億ドル減少。世界8位レベル」と書いてあります。

同記事は、

(前略)
まるで同じ人が資料を作ったように、同じ文体に内容も非常に似ています。

現在と状況があまりに似ているので、資料もそうなったのでしょう。

では、将来も同じように展開されるのでしょうか?
(後略)

⇒参照・引用元:『MBC』「再び広がる金融危機の悪夢…何が同じで何が違うのか」

と、プレスリリースの書きようが似ているので、この先韓国に訪れる事態も2008年のときと同じなのではないか?と飛躍しています。

無茶苦茶な論理です。

Money1でも『韓国銀行』のプレスリリースをご紹介していますが、『韓国銀行』の文体はいつもこんなのです。いいときも悪いときもそうです。お役所の公表する資料ですから、それは当たり前の話。

現在のプレスリリースが韓国通貨危機直前時のプレスリリースと書きようが似ている、だから現在の韓国にも危機が来るんだぁ!というのは、いくらなんでも飛躍し過ぎです。

韓国のいつものパターン

記事内では、他にも韓国通貨危機時と現在の似た点を以下のように挙げています。

外貨準備高が急速に減少していること
貿易収支が大規模に赤字

これは韓国が危機に陥るときのいつものパターンを挙げただけです。

もう何度だっていいますが、韓国は輸出一本で食べている国です。貿易収支が大きな黒字でないと経常収支が黒字になりません。韓国の危機は、過去2回いずれも(国際収支統計での)「貿易収支の赤字」に端を発する経常収支赤字から始まっています。経常収支が黒字にならないということは、外貨準備が積めなくなるということです。

ですから、貿易収支の赤字化、外貨準備の大規模な減少という共通点があるのは大変によくありません。

韓国経済が危機的状況になる兆しは、貿易赤字、経常収支の赤字とすでに現れています。問題はこれが継続されるかです。継続する場合には、兆しはより明確に危機につながるサインとなります。

この記事が面白いのは、「韓国経済は復元できるか?」を問うた部分なのです。

ウォン安で経済を復元できるのか?

(前略)
韓国は1997年の外国為替危機と2008年の金融危機を最も早く克服した国の一つに挙げられています。

経済危機でウォンの価値が暴落すると、価格競争力が大きくなり、輸出企業が膨大なドルを稼いだ影響が大きかったからです。
(後略)

⇒参照・引用元:『MBC』「再び広がる金融危機の悪夢…何が同じで何が違うのか」

と書いています。

本来、ウォン安というのは韓国にとって都合がいいもののはずです。輸出で食べている国ですので、ウォン安が進むと価格戦闘力が上がり、韓国製品は売れるようになります。

実際、これまでの通貨危機で韓国経済を復元したのは「ウォン安」であり、それによる「貿易収支の黒字化」でした。

対して、今回はすでにウォン安です。ところが貿易赤字傾向は続いています。これまでのような危機からの復元はできないかもしれない――と指摘しているのです。

的を射た指摘といえます。今回のウォン安進行が面白いのは実にこの点です。韓国のファンダメンタルズが一応「堅牢」とされているにもかかわらず、ウォン安が進行しています。

ウォン安進行によってファンダメンタルズが悪くなり、これによって本当の危機が来るかもしれないのです。そのため韓国経済に現れるサインに要注目です。

(吉田ハンチング@dcp)

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