韓国・尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の肝いりだった「Kチップス法」が骨抜きにされました。
韓国の半導体産業は、韓国にとって最重要の輸出の約18%を支えています。
主力輸出品目で弱体化していると判断できないのは「半導体だけ」といっていい状況ですので、韓国の半導体企業は、少なくとも中国に追いつかれることだけは絶対にあってはなりません。
そのためには設備投資を行い続けることが必須です。
で、「Kチップス法」。
半導体企業の設備投資を推進するために税額控除を大幅に増やすことを計画していました。尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領のプランでは、
大企業:20%
中堅企業:25%
中小企業:30%
の予定でした。
ところが、野党『共に民主党』は大企業にそのような特恵と与えるのはけしからん(左派・進歩系なので大企業は締め上げるべしが基本姿勢)とばかりに控除率を削り、おまけに最後は企画財政部が「控除率を上げると税収が減る」と日和る始末。
どうなったかというと……以下をご覧ください(スマホでは表組は横にスクロールできます)。
現行 | 尹政権の目論見 | 国会通過結果 | |
大企業 | 6% | 20% | 8%(2%↑) |
中堅企業 | 8% | 25% | 8%(据置) |
中小企業 | 16% | 30% | 16%(据置) |
大企業の税額控除をわずか「2%」だけ上げて、中堅企業・中小企業は現状のママという情けない結果となりました。
ちなみに、前文在寅大統領は「K半導体」と号し「半導体は韓国を代表する産業でこれから40兆ウォンを投資する」と持ち上げましたが、その「投資する」のは「企業」であって、基本「キミたち頑張ってね」でした(本当です)。
設備投資を行うと税額控除を行うとしたのですが、その税率がショッパイので、これを「もっとこう…あるだろう」と大きく改善しようとしたので「Kチップス法」でした。
しかし、上掲のように尹錫悦(ユン・ソギョル)政権の思惑は頓挫しました。
さすがに尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領も頭にきたようで、2022年12月30日の国務会議で檄を飛ばしたようです。第20代大統領室が公表した以下のプレスリリースに尹大統領の怒りが現れています。
本日(12.30.金)午後2時半、国務総理駐在臨時国務会議で国会を通過した税法改正案が議決される予定です。
これに関して、尹錫悦大統領は次のように指示しました。
「多数議席を前面に押し出した野党に足首を捕まれ、企業のグローバル競争力の向上と投資拡大のための法人税の最高税率の引き下げが完全に反映されませんでした。
半導体産業に対する特典で提案した先行投資に対する支援案が十分に議論されていない点が残念です。
特に半導体などの国家戦略技術は国家安全保障の資産であり、韓国産業の核心技術なので、企画財政部は関係省庁と協議し、半導体など国家戦略産業に対する税制支援を追加拡大する方案を積極的に検討してください」
内容からいって、「『共に民主党』の野郎がー!」であり、「お前らナニやっとんじゃ」であり「もう一回やるぞ」です。
韓国輸出の屋台骨である半導体が傾くわけにはいきませんので、尹大統領が怒るのも無理はありません。
(吉田ハンチング@dcp)