韓国の経団連ともいわれる、あの『全国経済人連合会』の許昌秀(ホ・チャンス)会長がついに退任となります。
すきあらば「通貨スワップ」を要求する人でした
Money1でもしつこくご紹介してきましたが、この許昌秀(ホ・チャンス)会長は、すきあらば「通貨スワップ」を連呼する方です。
2020年03月のドル枯渇危機で韓国経済がドボン騒動となった際の「米韓通貨スワップが要る」「日韓通貨スワップでもいいぞ」発言のみならず、ミハエル・ライテラー在韓EU大使と朝食懇談会を開催したら「韓-EU通貨スワップが要る」、「米韓財界会議」が開催されれば「米韓通貨スワップが要る」……挙げればキリがありません(本当です!)。
許昌秀(ホ・チャンス)会長は韓国経済の不調が検知されるたびにいち早く「通貨スワップの必要性」を力説するというヘンな方でした。
その許さんが、任期満了を待たずに、12年も務めた会長職※1から2023年02月に退任です。
※1許昌秀(ホ・チャンス)さんは会長を辞められない人でした。2017年、2019年、2021年に「もう辞める」と言っていたのですが、結局後任がおらず12年も会長職にとどまり続けたのです。
現在尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、韓国企業100社以上のお供を連れてUAE ⇒ ダボス会議の外遊に出ていますが、他の有力経済団体は呼ばれているのに『全国経済人連合会』には声がかかりませんでした。
Money1でもご紹介しましたが、尹錫悦(ユン・ソギョル)さんが就任した当初は『全国経済人連合会』も懇談会に呼ばれたのですが、2022年12月02日の『民主労総公共運輸労組貨物連帯本部』(貨物連帯)のストライキが終わった直後の晩餐会には呼ばれませんでした※2。
※2『大韓商工会議所』『韓国経営者総協会』『中小企業中央会』『韓国貿易協会』『韓国中堅企業連合会』が晩餐会に招待されましたが、『全国経済人連合会』は弾かれました。
『全国経済人連合会』は、就任直後には重視されていたのに、最近では尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領からとんとお呼びがかからなくなったのです。
任期満了を待たずに退任ですので、政権からの冷遇を苦にしてのことなのではないか、という観測が出ています。
このまま『全国経済人連合会』が衰退するのは惜しい
これまた何度もご紹介していますが、『全国経済人連合会』はそもそも1961年に発足した長い歴史を持つ経済団体です。経済5団体といわれる5つの中では最古参。ただし、朴槿恵(パク・クネ)大統領時代の国政壟断事件で4大財閥グループが抜けてしまい、規模や影響力は大きく削がれました。
この点が、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の冷遇につながっているのではないでしょうか。
ただし、Money1でも多く引用させていただいているとおり、『全国経済人連合会』傘下のシンクタンク『韓国経済研究院』は非常に興味深いリポートを出すことが多く、経済についての分析でも面白い視点を提供してくれます。
時に「韓国ウォンは基軸通貨になれる」などというトンチンカンなリポートを出し、真に受けた李在明(イ・ジェミョン)さんが大統領公約に掲げるなどという大変に面白い事態を引き起こすこともありましたが、それはそれで韓国ウォッチャーのネタになりました。
このまま『全国経済人連合会』が縮小してシンクタンク機能も衰亡するのはもったいないとしかいえません。
許昌秀(ホ・チャンス)会長が去るのは、「通貨スワップのゴリ押し」が見られなくなって残念ではありますが、これを機会に『全国経済人連合会』が一層の飛躍を遂げることを心より祈念せずにはいられません。
(吉田ハンチング@dcp)