中国の通貨・人民元が安値方向に爆進しています。
FXの取り引きをされる方ならご存じでしょうが、「破七、守七」という言葉があります。「1ドル=7元」というのがマジノ線(韓国メディアにならいます)で、これが破られたときは危ないというわけです。
危ないも何も、人民元の場合は、中国金融当局の管理下にあるので、当局がなんとか収めるのがスジです。中国は完全な為替操作国だからです。
しかし、市場というのはそんな統制が利くような「場所」ではありません。
あまりにも人民元売りで拡大すると止めることができなくなります。その場合、仕方なく当局が人民元のレートを切り下げるという事態になります。通貨安を支えるための「ドル売り人民元買い」が限界に達したら、支えることが不可能だからです。
「元安圧力」となるのは、資金流出だけではありません。大変皮肉なことに、ロシアによる人民元売りがあると見られます。
ロシアは対中国貿易でもうけて人民元を売る
中国共産党政府は「人民元の国際化」に邁進しています。自由主義陣営国との取り引きから切り離され、外貨準備高の半分が凍結されたロシアとは人民元建ての取り引きを推進してきました。
ならず者同士の連帯というわけですが、実はロシアはこの対中国貿易で大きな利益を上げています。2022年には354億ドル規模の貿易収支を上げたと見られるのです。
このうちどの程度が人民元かが分からないのですが、ロシアが持つ外貨準備のうち、人民元の規模は30億ドルという報道があります。ということは、対中国貿易で上げた利益のほとんどが外貨に換えられているはずです。
市場でロシアの人民元売りが進行すると、その分の元安が進行します。現時点で、ロシアの取り引きはそこまで大きな額ではないですが、ロシアとの取り引きが拡大するに従って、人民元売りはさらに拡大する可能性があります。
ロシアが人民元を売る理由は簡単で「持っていても仕方がない通貨だ」と考えているからです。少なくとも現在のところは。
(柏ケミカル@dcp)