韓国の関税庁が「2023年07月01~10日の輸出入動向」のデータを公表しました。結論からいえば当月も赤字スタートです。
以下をご覧ください。
2023年07月01~10日
輸出:132億6,700万ドル(-14.8%)
輸入:155億4,300万ドル(-26.9%)
貿易収支(輸出 – 輸入):-22億7,600万ドル2023年01月01日~07月10日累計
輸出:3,204億4,600万ドル(-12.5%)
輸入:3,491億8,800万ドル(-8.8%)
貿易収支(輸出 – 輸入):-287億4,100万ドル※( )内は対前年同期比の増減
⇒参照・引用元:『韓国 関税庁』公式サイト「’23年07月01日〜7月10日の輸出入の現状」
当月10日までは、貿易収支が「-22億7,600万ドル」で済みました。2022年の同期が「-56億8,100万ドル」ですので、赤字は59.9%減少しました。
貿易赤字は約4割に縮小したわけです。
今回の注目点は、輸入の減り具合です。貿易収支は「輸出 – 輸入」で求めますので、輸入金額が減れば、その分貿易収支は大きくなります。
しかしながら、上掲のとおり対前年同期比で輸入は「-26.9%」と激減しています。輸出が「-14.8%」であるにもかかわらずです。
つまり、輸出が減少しているが、輸入がそれよりも大きく減少したので、貿易収支の赤いがその分減ったわけです。「不況型」の気配がします。
韓国にとって死活的に重要な輸出について、主要品目の状況を見てみると以下のようになります。
船舶:+74.0%
乗用車:+25.2%
石油製品:-51.3%
半導体:-36.8%
無線通信機器:-27.1%
自動車が絶好調と韓国メディアが報じてきましたが、それも落ち着いた感じになっています。もともと自動車の輸出が急に伸びたとされる理由は、前年にへこんだ反動でそう見えただけです。韓国メディアがいうところの基底効果というものです。
半導体は相変わらず「-36.8%」と約4割減です。
面白いデータがあります。半導体の輸入も激減しているのです。
半導体:-23.8%
半導体の輸入がほぼ1/4減少しています。輸入は外国からする消費ですから、「不況型」になっていることの一つの証左といえるのではないでしょうか。
また、先にご紹介したとおり、韓国の精製会社は枯死しかかっていますが、それを示すように石油製品が「-51.3%」となっています。
主要輸出相手国の対前年同期比の増減を見ると、以下のようになります。
欧州連合:+22.4%
インド:+11.1%
ベトナム:-32.5%
中国:-20.6%
アメリカ合衆国:-9.0%
これまで大もうけしてきた対中国輸出の落ち込むは解消されていません。また、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権が注力している対ベトナムの輸出も「-32.5%」と大幅な減少です。
総じていえば、07月も輸出は芳しくありません。
月初時点で貿易赤字が少なく済んでいますので、(通関ベースの)貿易収支は前月に続いて黒字になる可能性が高まりました。
韓国メディアでは「底を打った」という論調になっていますが、「縮小均衡するかもしれない」という可能性を忘れています。回復して貿易収支が黒字になったとしても、以前の水準に戻るのではなく、低位で推移するという可能性です。
(吉田ハンチング@dcp)