韓国メディア『毎日経済』が日本と韓国を比較した記事を出しており、これが大変に面白い内容です。
記者が「日本についての疑問」をぶつけ、日本経済専門家のイ・チャンミン教授がこれに答えるという形式になっています。
イ教授は「韓国は依然として日本をきちんと観察する必要がある」と指摘しているのですが、その理由は「日本がうまくいったときには『正面教師』となり、そうでなかったときは『反面教師』となって韓国経済にとって一種の『教科書の役割をしてくれた』から」とのこと。
Money1でも何度もご紹介していますが、韓国というのは世界に類を見ない他国(日本)を丸ごとコピーしようとした国だ――というのが本当のところです。
松本厚治先生流に穏当に、あくまでも上品に表現すれば「日本を象った国」ですが、悪し様に言うなら「日本の劣化コピー」、あるいはモンキーモデルです。
ですので、イ教授の「現在でも日本をよく観察しよう」というのは正しいです。
というより「絡んでくるなと押し留めても、観察して日本をまねようとするのが韓国」です。また「日本を反面教師に……」などと言っても、そんなことはできないのが韓国という国です。
例えば、人口の問題。「日本は高齢者ばかりになってしまうぞ」と嗤っていたのに、いつも間にやら韓国の合計特出生率※は「0.78」まで墜落し、現在では「世界で一番早く消滅する国」といわれるようになっています。
※合計特殊出生率は「女性一人が15歳から49歳までに出産する子供の数の平均」です。この数字が2.2ないと人口は増えないといわれます。
日本を象った国なので「日本で起こったことは韓国でも起き、しかもその変化は日本よりも急激になる」という現象が起こります。
韓国は復元力が弱い国なのです。「ダメコンができない」という言い方もできるでしょう。つまり、反面教師があってもなくても同じです。
それはともかく、今回の記事の中で白眉ともいうべき箇所を以下に引用してみます。なぜか韓国では「日本はデジタル化に遅れた国」ということになっています。
その点をイ教授に聞いているのですが……。
Q.日本はどうしてデジタル化に遅れてしまったのか?
A:日本ではよくFAX、印鑑、紙を「3種の神器」と言いますが、この3つが一つのシステムです。
1980年代までFAXは新しい装置で、FAXで送受信し、印鑑を押して書類を保管するシステムが当時は最先端でした。
そして1980年代まで超一流国だった日本は、オフィスごとにFAXがありました。問題は、このFAXを中心としたレガシーシステムがまだ強く残っていることです。
18世紀末の第1次産業革命の時は汎用技術が蒸気機関で、100年後の第2次産業革命の時は内燃機関がこれに代わるものとなりました。
そして20世紀末の第3次IT革命でコンピューターとインターネットが汎用技術になりました。
日本は18世紀末と19世紀末まで技術革新の時までは非常によく乗っていました。
おかげでこの時期、日本は繁栄することができました。
しかし、1990年代のバブル崩壊後、停滞に陥り、第3次IT革命の時は投資に疎かになったのです。
重要な時期に設備投資余力が不足し、実際に行わないまま流れてきたわけですが、本質的に既存のものに安住してしまい、変化の波に間に合わなかったのです。
汎用技術の導入の遅れが生産性の低下につながり、再び長期低迷の要因となりました。
1990年代以降、IT投資による生産性向上が成長の原動力となったアメリカ合衆国とは対照的ですね。
⇒参照・引用元:『毎日経済』「‘월급쟁이’ 한국, 왜 지금 ‘건물주’ 일본을 들여다봐야 하나? [한중일 톺아보기]」
「日本ではよくFAX、印鑑、紙を『3種の神器』と言う」――そうです。
ちなみに、日本で「OA(オフィスオートメーション)」という単語がはやったころ、「OA」の三種の神器と呼ばれたのは「パソコン・日本語ワードプロセッサー・FAX」です。
1984年(昭和54年)の「3A(FA,OA,HA)革命の将来と問題点」という文章の中で渡辺茂先生が書いていらっしゃいます(以下URL)。
また、「1980年代まで超一流国だった日本」と、イ教授は「今では超一流国ではない」ような言い方をしています。
イ教授の日本に対する認識が透けて見えます。
興味深いのは、イ教授の認識では「第一次産業革命・第2次産業革命にはよくついていった日本がIT革命には乗り遅れた」となっていることです。
果たしてそうでしょうか? このような話をする方が「日本経済専門家」なのです。日韓が分かり合うなど夢のまた夢です。
(吉田ハンチング@dcp)