韓国の年金基金の資金が株式市場に投じられ、株価の下落によってすでに大部分が失われたという話があります。しかし、そういった事態が現出するのはこれからではないかと推測します。
2019年、KOSPI(韓国総合株式指数)における「Player別の『日別買い越し金額』」を累計したものが以下になります(データ出典は『finance.naver.com』)。
一目瞭然ですが、「年金基金(など)」は2019年の韓国株式市場で「最も買い越したPlayer」でした。買い越し金額は「9兆6,577億ウォン」。2020年01月01日のレートで日本円にすると約9,097億円です。
注意していただきたいのは、これは買い越し金額(マイナスになれば「売り越し」)ですので売買の「差異」であって、実際に投じられた金額はこれよりも(恐らくはるかに)大きくなるという点です。
2019年KOSPIの概況を振り返ると「消失水準」は?
KOSPIのチャートで2019年の韓国株式市場を概況してみましょう。
2019年は01月02日長い陰線で幕開けしますが、すぐに上昇トレンドに入り02月末に天井圏を形成。04月中旬にもう一つの天井圏を作り、つまりダブルトップを作って、以降は下落トレンドに入ります。
天底をつけたのは08月06日で、このときのKOSPIは一時「1,891.81」までいきました。08月末まで底圏でも揉んでダブルボトムを形成してから上昇に転じました。12月末時点での現状はおよそ「2,208」に引けるレジスタンスライン(抵抗線)で頭を抑えられ、これ以上の株高を阻まれています。
このトレンドに沿って、「年金基金(など)」の日別買い越し金額を洗ってみますと、KOSPIが天底を付けた08月06日までには「年金基金(など)」は計「4兆6,325億ウォン」の買い越しです。08月07日から12月30日までには計「5兆252億ウォン」の買い越しになっています。
先にご紹介した篠原丈一郎先生が「元韓国政府の官僚から聞いた」という件が正しいのであれば、08月06日のような水準になると突っ込んだ資金が「溶けてしまった状況」になると推測できます。
つまり、日足のローソク足でいえば「始値:1,900.36」-「終値:1,917.50」の水準です。またこの翌日以降に買い越しとなっている5兆252億ウォンの株式についても(まだ保有していればですが)、当然ながらここまで落ちると「含み損状態」と考えられます。
ですので、メディアでいわれる「KOSPIが2,000を切ったのでマズイ」「1,900に迫るのでマズイ」といった言説は根拠なきことではないと考えられます。
レイ・ブラッドベリ『華氏451』をもじって、「KOSPI2000」――それは年金の溶け始める温度なんていいたいところです。
また、「近い将来、KOSPIが2,000を切る状況はない」「1,900を割らない」などとは絶対言えません。
むしろ、韓国企業の経営状況が悪化し続けている現状、北朝鮮VSアメリカ合衆国のリスク、韓国一番の取引先である中国の景気後退などを考慮すれば、むしろすぐ到来してもおかしくないといえるのです。
その時、株式市場を支えられるだけの資金が年金基金にあればいいのですが、投入できる資金はないし、突っ込んだお金も溶けてしまった、なんてことであれば本当に「おしまい」です。「本当のおしまい」はこれから来るのはないでしょうか。
(柏ケミカル@dcp)