2024年04月05日、韓国の産業通商資源部は「技術金融」という新たな用語で、2028年までに計16.6兆ウォンを突っ込むと公表しました。
総選挙前なので本当に「ばらまき」の話ばかりです。以下がそのプレスリリースですが、まず下掲のプレスリリースの冒頭をご覧ください。
技術金融今年3.4兆ウォン
’28年まで16.6兆ウォン供給– CVCファンド2.4兆ウォン、産業技術革新ファンド4,000億ウォン造成、5,400億ウォン「融資型研究開発(R&D)」新設
– 技術金融投資拡大戦略会議」で「民間主導の技術金融活性化」方案を発表産業通商資源部(長官安徳根(アン・ドックン))は、中小・中堅企業の挑戦的な技術革新と技術事業化を支援するため、’24年計3.4兆ウォン、’28年まで5年間計16.6兆ウォン規模の技術金融を供給する。
(後略)
韓国ウォッチャーなら、ここまで(プレスリリースの上から8行)読んだだけで、「はい、大体分かりました」と言うでしょう。
韓国のいつもの「◯◯ファンド(基金)」を作って投資するぜ――です。うんざりするほど見てきましたが、「また始まった」です。
これは韓国のいわば「お家芸」。
「民間主導の技術金融活性化」と書いていますので、ハッキリ「民間が金を出せ」計画です。こちらも「また始まった」です。
企業や金融機関の皆さんは、韓国政府から「会議だから」と呼び出されたら、だいたいロクでもない話ばかりです。
今回組成するのは、
・CVCファンド:2.4兆ウォン規模
・産業技術革新ファンド:4,000億ウォン
と「融資型研究開発(R&D)」:5,400億ウォン」
です。CVCというのは、Corporate Venture Capitalの略で、事業会社がファンド(基金)を組成して、ベンチャー企業に対して出資・支援を行うことです。
今回の発表で面白いのは、360億ウォン規模の「先端民軍協力ファンド」というものが予定されていることです。
これは、防衛企業が追加出資、企業発掘および事業化支援などを通じて、防衛分野の革新企業育成に取り組むためのファンド。
要するに、中国ではないですが、デュアルユースの最新技術を開発するファンドを作ろうというわけで、これは新しい試みといえます。
いつもの「誰がお金を出すんですか」は、以下のとおりになっています。
⇒官民で出資
(1,000ウォン(うち政府出資400億ウォン)+ 民間出資2.3兆ウォン)
・産業技術革新ファンド:4,000億ウォン
⇒マザーファンドが1,900億ウォン出資、残りを誰がどのように出すのか記載なし
・「融資型研究開発(R&D)」
⇒2024年900億ウォン、企業別に20億ウォン内外の低利支援(年利0.5~1.84%)、13の取扱銀行が参加
政府が出資するのは「400億ウォン」しかなく、残りは民間に出させてファンドを組成、低金利で融資する「R&D」の方は、銀行に「低利で貸せ」と圧力を掛ける模様です。
こういう話が出ると、通常なら『産業銀行』が真っ先に駆り出されるのですが、13の銀行の中に『産業銀行』が入っているかどうかは不明です。
昔ご紹介したことがありますが、『産業銀行』は、政府が◯◯ファンドの話をぶち上げるばかりで、実務を『産業銀行』に丸投げするので、キレたことがあります。
エエ格好しいの文在寅大統領の時代でしたが。
総選挙まで日にちがないので、「ばらまき」の公表ももう打ち止めでしょう。
念のために付記しますが、韓国のお家芸である「◯◯ファンドにお金を集めて(出させて)投資だー」は、全くうまくいきません。
歴代政権がつくった「なんとかファンド」の屍が累々と続いています。
(吉田ハンチング@dcp)