先にご紹介したとおり、韓国最大手化学企業『ロッテケミカル』の社債が財務特約違反(Covenant Breach:コベナント・ブリーチ)」を発生させました。
同社の信用リスクが注目される中、『ロッテグル-プ』は信用を補完するために同グループの象徴でもあるロッテタワー(下掲写真)を担保に入れてもいいと公表。
ロッテタワーが担保といっても、これ売るのも大変です。大賢人エミン・ユルマズさんの名言に「そんなドロドロしたものもらってもなあ」というのがありますが、ツッコミは似たようなものです。なんぼ安いからといって、誰が象を買いますがか――です。
債権者からすれば――資産があるのは分かるが、モノじゃなく金にしてくれ――です。
それはともかく、この『ロッテケミカル』の業績は傾いているのです。
『ロッテケミカル』は大赤字に転落している!
以下をご覧ください。2024年第3四半期時点での業績です。
2024年第3四半期累計
総売上: 15兆5,343億1,400万ウォン(3.3%)
営業利益:-6,600億2,700万ウォン(-1,970.7%)
当期純利益:-6,813億5,500万ウォン(赤字転落)※( )内は対前年同期比
⇒『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト
2023年の第3四半期時点でも営業利益は赤字でしたが、それでも「-318億7,400万ウォン」でした。それが、今年第3四半期時点は「-6,600億2,700万ウォン」です。
上掲のとおり増減率は「-1,970.7%」という無茶苦茶な数字。下に掘るにしてもほどがあるという墜落です。
営業赤字の金額が「約21.4倍」になったのです。
工場の一部を操業停止
2024年12月02日、『ロッテケミカル』麗水工場は、麗水国家産業団地内の第1~3工場のうち、第2工場の一部生産工程について稼働停止手続きを開始しました。
韓国メディア『ソウル経済』によると――、
生産設備を空にして窒素を充填する、いわゆる「ボックスアップ(Box-Up)」を行い、稼働を停止した状態で設備を保護する措置を取った
――とのこと。
同工場は、2024年上半期にPET(ポリエチレンテレフタレート)の生産を停止したのに続き、今回はエチレングリコール(EG)や酸化エチレン誘導体(EOA)などの生産ラインを停止しました。
このまま工場を稼働させても損をする――という判断があったものと考えられます。
『ロッテグループ』でも重要な企業ですので、支援はあると見られていますが、さて『ロッテケミカル』はどうなるでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)