韓国『ロッテ』会社の象徴ロッテタワーを担保に差し出す羽目に陥る!

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↑『ロッテケミカル』が特約違反を発生させてしまった――と公表した前営業日から株価は急落を始めました(チャートは『Investing.com』より引用:以下同)。

何が起こったのか――をご紹介します。

2024年11月11日、韓国『ロッテグループ』傘下の『ロッテケミカル』が以下のプレスリリースを出しました。

面倒くさい人は飛ばしていただいても大丈夫です。次の小見出しまで移動してください。

ロッテケミカル、社債管理契約財務特約未遵守…。該当特約調整の推進

■財務特約未遵守事由発生関連社債権者らと協議進行……会社の財務構造、資金計画、流動性確保現況など疎通を通じて特約事項調整予定

■ロッテケミカル、10月時点で活用可能な保有預金2兆ウォン含む合計4兆ウォン相当確保で安定的流動性保有……海外子会社持分を基礎資産に約1兆3千億ウォンの先制的資金調達で財務健全性を高める改編推進

『ロッテケミカル』は、2013年09月から2023年03月までに発行した14件の社債について、期限利益喪失(デフォルト)を引き起こす可能性がある特約違反が発生したと発表しました。

社債管理契約において維持する必要がある財務比率のうち、「3年間の累積EBITDAを利息費用の5倍以上に維持」という項目(2024年09月30日時点の連結基準)を満たせなかったことが原因です。

会社は、この特約違反に関して、社債権者と順次協議を進めており、社債権者集会を開催して特約事項を調整する予定です。
集会の詳細については、近日中に公示予定です。

今回の事由が発生したにもかかわらず、会社は社債の元利金返済に十分な流動性を確保しており、問題が発生しないよう資金運用を行う方針です。

2024年10月時点で活用可能な預金2兆ウォンを含む総額4兆ウォンの流動性資金を保有しています。

負債比率は約75%と堅実な財務基盤を維持しており、追加的に海外子会社株式を基盤資産として1兆3千億ウォンの資金を事前調達する計画です。

投資リスク管理を強化し、大規模な現金流出を伴う新規および継続的な投資計画を調整することで、キャッシュフローを改善しています。

工場の稼働最適化とコスト削減を目的とした「Operational Excellenceプロジェクト」を実施中で、上半期の麗水工場に続き、下半期には大山工場にも拡大しました。

「アセットライト」戦略に基づき、事業リスクを管理するための投資誘致と戦略的視点での事業撤退を通じて事業構造改革を推進中です。

その一環として、マレーシアの合成ゴム生産法人(LUSR)の清算を2024年10月に決定しました。

⇒参照・引用元:『ロッテケミカル』公式サイト「ロッテケミカル、社債管理契約財務特約未遵守…。該当特約調整の推進」

何かやばそうなことが起こったんだな――という感じはこの同社のプレスリリースからも伝わるでしょう。

『ロッテケミカル』に何か起こったのか?

詳しい方は上掲の『ロッテケミカル』自身が出したプレスリリースだけで、お分かりになるでしょう。

しかし普通はなんのことかさっぱり分からないかもしれません。できるだけ簡単にやっつけますので、少しだけお付き合いください。

まず、『ロッテケミカル』自身が、2013年09月から2023年03月にかけて発行した14件の社債で、特約違反が発生してしまった発生させてしまった)――という報告です。

社債は、その企業が資金調達を行うために発行します。

償還期限(いつ元金を返済するか)と利率を決めて、投資家に買ってもらうわけですが、毎年定められた率の利子払いをし、期限が来たら元金も返済します。

今回の『ロッテケミカル』の社債では、

「3年間の累積EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)を利息費用の5倍以上に維持する

という条件が入っていました。

簡単にいうと、社債発行で得た資金の利払いを確実に行えるよう、『ロッテケミカル』は利払い費用の5倍の利益(利払い前・税引き前・減価償却前利益)を出す――と約束したのです。

社債を購入する投資家も「まあ、それなら……」と購入するわけです。

面倒くさい言葉を使うと「Interest Coverage Ratio:インスタントカバレッジ率:利息負担倍率」を条件に発行され、引き受けられた社債だったのです。

「Interest Coverage Ratio」は日本語では「利息負担倍率」や「利息カバレッジ比率」と訳されますが、企業がどれだけ余裕を持って借入金の利息を支払えるかを測るための財務指標です。Interest Coverage Ratio = 利息費用 ÷ EBIT(営業利益) × 100(%表記)

の式で求めます。

『ロッテケミカル』コベナント・ブリーチが発生!

ところが、この約束を――『ロッテケミカル』が守れませんでした。

これを面倒くさい言葉で「財務特約違反(Covenant Breach:コベナント・ブリーチ)」と言います。

――で、どうなるかというと――自身のプレスリリースに書いてあるとおり、「期限利益喪失(デフォルト)を引き起こす可能性がある」――というわけです。

これまた面倒くさく、分かりにくい言葉で――、

「期限利益(期限の利益)」というのは、契約で決められたとおりに一定期間後に返済を行える権利のことです。

一般に借金をすると、「返済するのは義務」だとばかり考えがちですが、それだけではありません。例えば「1年後に返済する」という契約でお金を借りたとすると、1年間は返済しなくていい――つまりは「1年後に返済を行える権利」を有したことでもあります。

借りたお金を投資するなどして「1年後返済するまでに」増やす可能性をゲットしたわけで、これまた立派な権利になるわけです。

例えば、社債であれば「満期まで分割返済せず、最後に一括返済する」という権利が期限利益です。

今回コベナント・ブリーチが発生したことで、この(『ロッテケミカル』にとっての)期限利益が喪失するかもしれない――と述べています。

つまり何が起こるかというと、社債を購入した投資家が、償還の満期を待たず大挙「さあ元金を返せ、今すぐ払え!」と押し寄せてくるかもしれない――ことを意味します。

「特約違反しちゃった、テヘペロ」では済まないことがご理解いただけるでしょう。

そのため、上掲の『ロッテケミカル』のプレスリリースには、10月時点で活用可能な保有預金2兆ウォンがあり、これを含む合計4兆ウォン相当の資産があるので流動性は十分だ――などと述べているのです。

要は「投資家が金返せと押し寄せようとも、飛んだりしません」と言っています。

加えて――。

「ロッテタワーを担保に入れてやらぁ」という話

2022年11月27日、傘下の『ロッテケミカル』の特約違反に関して、『ロッテグループ』は金融機関に対し「ロッテタワー」を担保として提供し、信用補強する――旨を公表しました。

「ロッテタワー」(Lotte World Tower)は同グループを象徴する建物であるばかりか、韓国を代表するランドマーク。ソウル特別市松坡区に位置し、高さ555メートル、地上123階建ての韓国で最も高い超高層ビルです。

韓国メディアでは「『ロッテグループ』がロッテワールドタワーを担保に銀行圏の保証を受け――、

『ロッテケミカル』の信用と安定性を強化することにした。代わりに社債の債権者らと社債管理契約条項内の財務特約をなくす方案を協議、推進することにした」

――と報じています。

グループ全体で保証しようというわけですが、すでにこの情報は公表されたもので、『ロッテケミカル』の信用は毀損されています。

どの程度かは市場が判断しますが、1976年に設立された『ロッテケミカル』は韓国を代表する化学会社。今回の特約違反は、あまり体裁のいいものでないことは確かです。

(吉田ハンチング@dcp)

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