2025年03月13日、『韓国銀行』が「通貨信用政策報告書」を公表しました。

詳細についてはまた別記事にする予定ですが、ひと言でいえば『韓国銀行』からの警告といった内容です。
アメリカ合衆国のトランプ大統領が全方位で(同盟国にすら)けんかを売っていますが、韓国にも大きな打撃となる――としています。『韓国銀行』が着目しているのは、予想していたよりも「動きが早い」ことです。
例えばカナダは、トランプ政権の関税賦課に対して「送電を止めてやってもいいんだぜ」「米国債を売ってやるぜ」と激しく反発しています。また、EUも(経済が傾いているにもかかわらず)合衆国から距離を取ろうという動きに出ています。
今回のリポートでは、
2024年11月の経済見通し時に予測したよりも、合衆国の関税政策が早期かつ強い形で実施された。(中略)これにより韓国の輸出増加ペースが鈍化し、今年の成長率は1.5%まで低下する見込みだ。
としました。しかし、これは「まだ良い方」の見通しです。
関税圧力がさらに高まる「悲観的シナリオ」※をとった場合、「韓国の成長率はさらに低下し、今年と来年ともに1.4%にまで落ち込む可能性がある」としました。
※『韓国銀行』では「合衆国が2025年末までに中国などの主要貿易赤字国への関税を引き上げ、それを2026年も維持し、他国が米国に対して強硬な報復関税を行う状況」を想定しています。
ただし、GDP成長率が1.4%まで落ち込む可能性があるというのは、先に『韓国銀行』が予測していましたので、これ自体は目新しいものではありません。
面白いのは「金利引下げが、より効かない方向に動いている」という指摘です。
『韓国銀行』の読みは「政府主導の金融健全性強化策により、金利引き下げが家計債務に与える影響は従来より小さくなる」というものです。
基準金利を引き下げるとスグに借金を膨らませるのが韓国人ですが、家計負債・企業負債の積み上げに金融当局が目を光らせているため、そこまでは増加しないだろう――という読みなのです。
数字でいえば、2025年の家計債務の増加率は0.60%ポイント、2026年は1.53%ポイント上昇すると推定しています。
ただし、こればかりは当たるも八卦、当たらぬも八卦。このとおりいけばいいのですが、一方で、「2025年02月、ソウルのマンション取引量が予想よりも大幅に増加している」という不気味な動きも表れています。
これは、高級住宅街で知られるソウル江南地区一部地域で土地取引許可区域の指定が解除されたことが、影響したと見られます。
他の地域では見られないので、あくまでも一部地域に限った話ですが、また家計負債を膨らませる状況にならないか、は注視しなければばなりません。
(吉田ハンチング@dcp)






