2025年04月30日、『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁が国会企画財政委員会に出席。
李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は、以下のように述べました。

「基準金利が『ゼロ(0)』の下限に近づいた場合、量的緩和(QE)政策を導入できるかどうかを悩むべきときだ」
「わが国の経済は少子化・高齢化の深化、潜在成長率の趨勢的な低下リスクに直面している」
「もし量的緩和のような手段を活用するのが難しい場合には、それを補完できる代替政策手段が何であるかについても議論が必要だ」
李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁が量的緩和(QE)について言及したのは、大きなサインと見なければなりません。
量的緩和とは、中央銀行が金融機関の保有する国債や社債を買い入れて、市場に流動性を供給する政策のことです。アメリカ合衆国や欧州連合(EU)、日本は実行したことがあります。
韓国の場合は、合衆国やEU、日本と違ってハードカレンシー保有国ではありませんし、そもそも合衆国・EU・日本のように債券市場が大きくありません。そのためQEを行っても「どこまで効くのか」が非常に疑問です。
これは、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)のアジア太平洋局・局長を務めた李昌鏞(イ・チャンヨン)さん自身がよく分かっているポイントでしょう。
そのため、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は、同日に開催されたシンポジウムでは「買戻条件付き債券(RP)の買い入れ」(いわゆるレポ取引)についても、「定例化する案を検討する」とまで(踏み込んだ)発言をしました。
これはいわゆる「レポ取引」(Repurchase Agreement)といわれるもので、短期的に流動性を提供するための仕組みです。
金利を下げるだけでは足りないぞ。だから準備しておく
問題はなぜ『韓国銀行』の総裁がここまで踏み込んだ意見表明を行ったのか――です。
簡単にいえば、中央銀行総裁が「流動性を多く供給しなければ持たない経済状況」と見ており、しかも「金利政策だけでは足りないだろう」と判断している証拠です。
数カ月前に、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は「中央銀行は金利政策しかできないのだ」と吐露したことがあります。
要は「政策を打たねばならない政治家は何やってんだ」という裏返しの、絶叫のような意見だったわけですが――読者の皆さまもご存じのとおり、韓国の政治家は「声闘」をやっているわけです(現在もやってます)。
ばかな国だなあ――という他ないのですが、(少なくとも李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁率いる『韓国銀行』は)韓国経済の先行き、成長性について「危ない」と判断しているのです。
(――政治家もばかばっかなので)
※韓国の基準金利は「2.75%」。そのため、まだ利下げの余地は残されています。下げても駄目なとき(効かないとき)は「他に手がいるだろ」――というのが李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁のメッセージです。
(吉田ハンチング@dcp)






