韓国の第21代大統領選挙の投開票日06月03日まで1週間を切りました。
本題に行く前に状況をご紹介します。

2025年05月29日、事前投票が始まりました。中央選挙管理委員会によると、事前投票初日である同日午後6時締め切り時点において、全国有権者4,439万1,871人のうち869万1,711人が投票に参加しました。
初日の全国平均最終投票率は19.58%と集計されました。
これは非常に高い数字で、初日時点での最高記録です。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が誕生した「2022年実施の大統領選挙ではの初日最終投票率は「17.57%」でしたから上回っています。
※尹錫悦(ユン・ソギョル)さんは第20代大統領選挙で勝利しましたが、この選挙の最終事前投票率は「36.93%」。今回の第選挙ではこれを上回る40%に達するのではないか――というよ(気の早い)予測も出ています。
韓国は「地域断絶」がいわれますが、事前投票率が最も高かったのは全羅南道。
「34.96%」となっています。
全羅南道:34.96%
全羅北道:32.69%
光州広域市:32.10%
これら地域では30%を越えています。
全南、全北、光州は左派・進歩系アンポンタンの強固な地盤です。高い事前投票率は、進左派・進歩側の有権者が積極的に動いていることを示唆しています。
これは『共に民主党』李在明候補に有利に働く可能性が高いと見なければなりません。
蔚山市:17.86%
釜山市:17.21%
慶尚北道:16.92%
大邱市:13.42%
――は低調です。特に保守寄りの牙城である大邱市・慶北が低調なのが問題です。保守寄りの動員力が鈍い、もしくは有権者が現状に不満を持っている兆候とも読み取れます。もちろん事前投票に慎重な保守寄り層の傾向も影響している可能性があります。
ソウル市:19.13%
京畿道:18.24%
仁川市:18.40%
――と首都圏は低調です。浮動票・若年層の影響が強い地域のため、今後の投票率の推移と最終投票日にかかる票の流れが重要となります。このエリアの票読みが選挙結果を大きく左右します。
ここから本題です。
李洛淵(イ・ナギョン)が金文洙(キム・ムンス)さんに助力!
このままでは下馬評どおり、李在明(イ・ジェミョン)さんの圧勝だ――と見られたのですが、面白いことが起こりました。

2025年05月27日、今回の大統領選挙をスルーしているのかと思いきや、李洛淵(イ・ナギョン)さんが突如、保守寄り『国民の力』統一大統領候補である金文洙(キム・ムンス)さんを「支持する」と表明しました。
李洛淵(イ・ナギョン)さんはそもそも左派・進歩系『共に民主党』の重鎮で、文在寅政権では国務総理(首相に相当)を務めたこともあるのです。
しかし、『共に民主党』の方針と合わず(というか親李在明勢力と合わず)、外に飛び出た方です。
その後、李在明(イ・ジェミョン)さんと和解がなるか――と思われたことがありましたが(合うわけないんですよ)、頓挫し袂を分かちました。

2023年12月30日、大雪の日に李在明(イ・ジェミョン)さんと李洛淵(イ・ナギョン)さんの直接会談が行われましたが決裂(合うわけがないのです)。
Money1でもご紹介したことがありますが、今回の大統領選に立候補しているアホの子こと、李俊錫(イ・ジュンソク)さんと共闘しようとしたこともありますが(第22代国会議員選挙時)、頓挫。

↑つまんなそうな李洛淵(イ・ナギョン)さん(李在明さんと合わずに『共に民主党』から出奔:左)と、そっぽを向いている李俊錫(イ・ジュンソク)さん(『国民の力』から蹴り出された:右/あほの子)。2024年02月20日に二人は決裂を発表。
結局、国会議員総選挙時には創党して選挙に臨んだものの敗れてしまいました。
もはや政治生命も終わったのでは――と思われてきた李洛淵(イ・ナギョン)さんが突如、保守寄り『国民の力』統一大統領候補である金文洙(キム・ムンス)さんを「支持する」と表明したのです。
まさに青天の霹靂です。
李洛淵(イ・ナギョン)さんが何を考えて突如、これまで戦ってきた保守寄り勢力の大統領候補を支持するとしたのか――これは自身が語っていらっしゃいますが、「憂国の志」という言葉に尽きます。
「李在明(イ・ジェミョン)が大統領になったら独裁国家ができて、いよいよ韓国はおしまいだ」という認識です。
李洛淵(イ・ナギョン)さんは以下のように述べています。
「怪物独裁国家を阻止せねばという切迫した気持ちだ」
「私が安穏と過ごそうという気持ちも捨てねばならなかった」
「怪物独裁国家を阻止するには、やむを得ず金文洙が必要だと熟考の末に結論を出した」
「(金文洙さんについては)私の心に引っかかる部分もある。時に極端な認識を示したり、光化門の牧師さんと近いのは気になる」
「それでも熾烈で清廉な生き方については、同じ時代を生きた者として頭が下がる」
「彼(金文洙さん)と私は国民統合のための共同政府を構成・運営し、改憲をまとめ上げ、3年以内に第7共和国を発足させ、退陣することで合意した」
「二つの勢力は、内乱審判か、独裁阻止かで争っている」
「しかし内乱審判はすでに整理される段階だが、怪物独裁は目前に迫った未来の問題だ」
『共に民主党』は現在、「この大統領選挙は内乱審判(内乱精算)」と大声を出していますが、李洛淵(イ・ナギョン)さんは「ちょっと待て、違うだろ。それよりも怪物が独裁する国になるかどうかを先に阻止しなければならない」と言っているのです。
まったく正しい言葉です。
李洛淵(イ・ナギョン)さんの言葉がどれくらい『共に民主党』の支持者を揺さぶるか分かりませんが、金文洙(キム・ムンス)さんにとっては大きな援軍です。
『共に民主党』支持者の中のまだしもアンポンタンではない人を金文洙(キム・ムンス)さん支持に捻じ曲げることができれば……です。
いかに李洛淵(イ・ナギョン)さんが真っ当なことを言ったのか、毎度おなじみですが、YouTuberである「隣のおじさん」さんが、日本語化してくれています。
ぜひ読者の皆さんもぜひご覧ください。
↑YouTube『隣のおじさん』チャンネル「元民主党国務総理・李洛淵が電撃参戦!助太刀いたす、怪物独裁国家など許さん」
当然ですが、『共に民主党』からは「裏切り者」という非難が上がっています。
もし韓国に独裁国家を許さないという「K-民主主義」とやらがあるのなら、ぜひ結果を見せてほしいものです。見せてもらおうか、韓国のK-民主主義とやらを――です。
(吉田ハンチング@dcp)






