タイムリーにご紹介しそこなったのですが、興味深い話なので記事にしておきます。

↑韓国が純国産戦闘機と言い張る「KF-21」が搭載する『GE』社製のF414-GE-400エンジン。KF-21はこれを2発搭載します。
尹錫悦(ユン・ソギョル)政権下で決まったことですが、(戦闘機用の)ジェットエンジンを独自に自主開発する――という宣言を行いました。
以下が産業通商資源部が出したプレスリリースになります(面倒くさい方は飛ばしても大丈夫です)。
産業通商資源部・防衛事業庁、先端航空エンジン開発準備を本格着手
― 次世代戦闘機エンジン国産化に向けた民・官・軍の協力方策などを協議 ―産業通商資源部(長官:安徳根(アン・ドックン)、以下「産業部」)は、防衛事業庁(庁長:ソク・ジョンゴン、以下「防事庁」)と共に、03月05日(水)、大韓商工会議所において「民官合同・先端航空エンジン開発タスクフォース(T/F)」会議を開催したと明らかにした。
今回の会議は、先端航空エンジン開発の実行計画を準備するためのものであり、ハンファ・エアロスペース、斗山エナビリティなどの主要エンジン企業と、国防科学研究所(ADD)、国防技術振興研究所(KDIT)、韓国産業技術企画評価院(KEIT)など、政府出資の研究機関関係者が出席した。
※(主な出席者)パク・ドンイル産業部製造産業政策官、チョン・ジェジュン防事庁未来戦力事業支援部長、キム・ウォヌク(ハンファ・エアロスペース先端エンジン事業団長)、コ・ミンソク(斗山エナビリティ常務)など
先端航空エンジン技術は、次世代戦闘機および高性能無人機の開発に必要な核心技術であり、独自の国産戦闘機の輸出、維持費用の削減、国富の流出防止など、多面的な側面で大きな波及効果が期待されている。
産業部は、昨年12月、「国家先端戦略産業競争力強化および保護に関する特別措置法(以下『国家先端戦略産業法』)」に基づき、「国家先端戦略技術」に先端航空エンジンの素材・部品技術を新たに追加し、人材育成のための特性化大学院設立、投資促進のための税制優遇、基盤構築など、全方位的な支援に乗り出す計画である。
防事庁も、今年01月26日、「先端技術事業管理委員会」において「先端航空エンジン(1万6,000 lbf(ポンドフォース)級)開発基本計画(14年間で3兆3,500億ウォンが必要と予想)」を確定し、先端航空エンジン国産化のために、事業の妥当性調査など後続スケジュールに本格的に着手する予定である。
今回の会議において、産業部と防事庁は、官庁横断型の大型事業を成功裏に推進するため、事業推進団の設立など多角的な協力方策について協議し、関連業界からは核心技術およびインフラ確保、専門人材の育成等に対する支援を要請する意見が出された。
産業部関係者は、「先端航空エンジンは、先端素材、精密加工、電子制御など高度な技術が集約されたものであり、安全保障の観点からも核心的な技術であるため、今後は予備妥当性調査など、喫緊の核心技術開発および基盤構築等を業界と共にスピード感を持って推進していく」と述べた。
虎タヌな計算は「できてから」言いましょう
14年間で3兆3,500億ウォン突っ込んで、1万6,000lbfクラスの先端航空エンジンを作る――というのです。
「1万6,000lbf(ポンドフォース)」というのは――、
「bf(ポンドフォース)」は推力を示す単位で、1lbf ≈ 4.45ニュートン(N)ですから「1万6,000lbf」なら「71.2キロニュートン(kN)」になります。
この推力は、単発エンジンなら軽~中量級の戦闘機を飛ばせるレベルで、双発エンジン搭載なら中〜重量級戦闘機にも対応可能――と考えられます。
韓国空軍が採用した「KF-21 ポラメ」は、韓国メディアでは「韓国独自開発の戦闘機」と喧伝されていますが、大嘘もいいところ。
そもそもエンジンはアメリカ合衆国に依存しています。
韓国メディア『毎日経済』は「戦闘機の心臓、もう私たちも作らなければならない」……380兆『ジェットエンジン市場』に挑戦」という記事で、以下のように書いています。
(前略)
1万6,000lbf級エンジンは、KF-21に搭載されている合衆国『ジェネラル・エレクトリック』(GE)製のF-414エンジン(1万5,000lbf)よりもやや強力だ。趙教授は「政府が構想するエンジンは、KF-21に適した1万6,000lbf級」であり、「まず開発が完了すれば、KF-21のアップグレードに合わせてエンジンの推力もさらに強化されるだろう」と述べた。
F-35Aに搭載されている合衆国『プラット・アンド・ホイットニー』(P&W)社のF-135エンジンの推力は、2万8,000lbfに達すると知られている。
(後略)
実に韓国っぽいですが、同記事では「航空機用ジェットエンジンの市場規模は2032年に2,798億ドル(約380兆ウォン)に達する」とし、韓国が開発するエンジンがその市場で存在感を得る――と書いています。
韓国の政権交代は、王朝の交代と同じで、次代の政権になると前政権の功績や進行していたプロジェクトが全部チャラになります。
そもそもこのプロジェクトが進行されるのか?――が疑問です。
また本当に14年間でできるのか?――なのですが、380兆の市場に……なんて話は「できてから」いいましょう。
韓国製のポンコツエンジンを購入してくれる国があればいいですね。

↑KF-21は今のところ「ダメそう」的な不穏な話は出てきておりません。インドネシアが完全に共同開発案件を反故にしかかっているぐらいです。第4世代戦闘機を新造してもなあ……はもう今言っても仕方ないのですが。
せっかく(一応は)飛行できているKF-21が、エンジンを韓国製に換装したとたんに墜落した――なんてことが起こらないことを祈念いたします。パイロットの皆さんが気の毒ですから。
(吉田ハンチング@dcp)







